テリー・ギリアム監督の噂の作品
9回も頓挫した撮影自体は、
ドキュメンタリー映画「ロスト・イン・ラマンチャ」にも詳しい
その時にジョニー・デップがいい感じで演じてたサンチョを
今回はアダム・ドライバーが演じる
この高身長のユダヤ系アメリカ人俳優は、ほんと不思議で
今やあらゆる監督に好まれている
スターウォーズのカイロ・レンを代表として、
ノア・パームバック監督、スコセッシ、ジャームッシュ、スパイク・リー、ソダーバーグ
わお、なんとも羨ましいくらいだ
さらに「未来世紀ブラジル」「フィッシャーキング」のテリー・ギリアムである
今やアダム・ドライバーは作家監督のベストアクターのようだ
そしてドン・キホーテ(と自分を思い込む)役は、
ジョナサン・プライスによる会心の演技
かといって、この映画がめちゃくちゃ面白いかといや
そんなことはなくて、むしろモンティパイソン時代など
ベタから逸脱する笑いを作ったテリー・ギリアムらしさがある
いわゆる王道エンタメではなく、はずした笑いというか
つまりはずした映画だからこそ、そこを分かるかどうかが
この映画を楽しめるかの鍵のようだ
それくらい錯綜してゆく
それを映画の豊かさととるか
バカバカしさと取るかは人によるだろう
だが、ドン・キホーテとは映画だけの話ではなく
1605年に出版され、聖書の次に読まれたという
セルバンテスの脱物語化した近代小説である
それは現代西洋文化の土台にもなるような考えで
日本にはないだろう、ここまで飛んだ逸脱文化
だからこそ一般的には、理解に苦しむかもしれない
つまり、この反逆心はテリー・ギリアム個人のものでなく
西欧の歴史であり文化でもある作品
★★★

