やってくれたという快作
イスラエルとパレスチナを描いた映画なら
昨年の「運命の輪」もよかったが
こちらはコメディタッチで、さらに緊迫感を笑いに変えている

途中イスラエルの検問所の主任とのやり取りは、
それこそコントになりそうなシチュエーションで
笑ってしまうのだが、
日本ならコントで終わりのところを
この映画は、映画としての力を保っている

それは人間観察であり、生活であり、政治や宗教であり風刺である
ある種、笑いに逃げることなく
しかし笑いを触媒にして、シリアスな題材を描いている

しかもこれは、ドラマ作りについての映画だから
やはりこのジャンルは強い
最近の「カメラを止めるな」や「真実」などもそうだった

コメディやメイキングについての映画は、世界共通
だが題材は世界を分割する宗教や人種
また男と女の違いも含めて、
一転二転しサスペンスを維持し続け
ラストまで到達する

見事な脚本だ、監督も兼ねるのは
パレスチナ系イスラエル人のサメフ・ゾアビ
2018年・第31回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品

★★★★★