監督森達也によりカメラは荒々しく振り回される
もう少し丁寧に映してもいいんじゃないかとか思いつつ
ドキュメンタリーらしい映画だ

逆に言うなら、カメラ一つでも切り込んでいける
それがドキュメンタリーのよさで
そこに立ち塞がるのが
政権という壁であり、権力

この映画は、東京新聞社会部記者・望月衣塑子を追ったドキュメンタリーだが
テーマは一貫して「表現の自由」である
表現がどこまで許されるのか、
どこまでカメラに映すことができるのか

空気を読まず質問する望月記者に対し、
困惑する菅官房長官
質問するほうがKYにさえ思えてくるのは
この国が、そのような直接的な質疑応答を苦手とし
空気で物事を動かすからだろう

(ここでなぜか丁寧に答えるイチローの引退会見を思い出した)

いまだに村社会のような合議制記者クラブがあり
同調圧力や忖度の実態
この国には、根本的な意識としては
民主主義は根づいてないんだなと
映画を見ても(実感としても)感じざるえなかった

よく通る声で論理的に喋り、
あくまで自然体で、また時に聞く姿勢に撤する望月記者が印象的
そして時にカメラの前に自身もさらしてゆく森監督
まるで過激なYouTuberのようでもある

いや、YouTubeでさえ規制が増えてゆく中
やはり映画は、より自由なんだと感じさせられた
野心的なドキュメンタリー表現作品

★★★