なんとも破壊された映画、
またはパッチワークのような?
「悪人」や「怒り」の吉田修一の短編犯罪小説が原作で
監督の瀬々敬久が脚本でつなぎあわせた
バラバラ感は拭えないし、
あえてポイントを流れで見せずに
時空を飛ばすチャレンジをしてるが
うまく機能せず、むしろ興を削いでる
例えば火事のシーンや、杉咲花が振り返るシーン
また肝心のY字路の種明かしにしても
もっと前に持ってくるべきだろうから
となると、やはり脚本がまずいことになる
さらに悪いのは演出で、演技派の俳優陣たちがうまく見せれていない
これは演技の導火線の部分を、編集でカットしてしまってるせいもある
あと脇役連中の演技も全くよくない
個人的には、それら全て監督のせいかなと
逆にいいのは、映像と音楽だが
それでも杉咲花をアップで撮りすぎていたり
群像劇なのに、映画としてちぐはぐ感は払拭できない
またミステリー映画としても機能してないとなると
一般受けも悪いだろうし、玄人受けもよくない
その結果を、俳優陣は残念がるだろう
なぜか吉田修一の原作映画はそうなる傾向がある
ストーリーとして見せるのではなく、
地方の闇や力を描いているからか
ただなにもそれは新しい挑戦ではなく
河瀬直美作品を中心に、「八月の蝉」や「溺れたナイフ」など
すでに見られたアジア的な風情
その焼き直しにもみえる作品
★★★

