千畳敷駅を発車し、列車は秋の日本海に沿って終点東能代駅を目指し進んでいきます。

 

ちなみにこの列車の種別は『快速』。先ほどの鯵ヶ沢駅までは各駅に停車していましたが、そこから先はかなり駅を飛ばすようになります。

 

こちらは9時17分到着の深浦駅。1つ前の停車駅である千畳敷駅からは、一気に5駅も通過しての到着です。さすが快速、これまでの面目躍如といったところでしょうか。

 

 

 

深浦町は人口約6500人。江戸時代には北前船の寄港地として栄え、街中には往時の面影を残す見どころも多いとのこと。失礼かもしれませんが、こんな辺鄙な場所に、円覚寺という国の重要文化財にも指定されている寺院もあり、これは本当に驚きでした。こうしたところで1日のんびり過ごすのも、悪くはないかもしれませんね。

 

その後しばらくすると、五能線沿線にはあまり似つかわしくない瀟洒な建物が現れました。

 

 

 

駅名からもわかる通り、ウェスパ椿山という温泉や体験工房のある観光施設ですが、コロナ禍真っ只中の2020年(令和2年)10月の閉鎖となってしまい、現在は細々と物産館だけが事業を継続しているようです。

 

こうした施設、全国にはいったいどれほどあるでしょうか・・・ というかコロナ禍とはいったい? この数年間で、我々は多くのものを失ってしまったように思えてしまいます。

 

その後も日本海に沿ってひたすら進み、十二湖駅には9時45分の到着。

 

 

駅名の十二湖とは、付近一帯に点在する複数の湖の総称で、先述の千畳敷同様ここにも一度訪れたことがあります。世界遺産である白神山地の山中にいくつもの湖が広がる光景は、とても神秘的なものだったと記憶しています。

 

思い出の地の再訪に、しんみりする気持ちもなくはないですが、例によってここもスルーし旅を続けます。

 

 

 

 

車窓から臨む風景は絶景そのもの。そして時折現れる駅も趣のあるものばかりで、旅に出てるなという実感が、改めて湧き出てきます。

 

そんな五能線の旅も終わりに近付き、米代川の鉄橋を渡ると能代駅に停車します。

 

 

 

反射してよくわかりませんが、駅構内というのにバスケットゴールがありますね。

 

能代市は人口約4.7万で、言わずと知れたバスケットボールの街。バスケット漫画の名作スラムダンク山王工業のモデルとなった能代工業の活躍は、あまりにも有名です。ただそんな能代工業も、現在は高校再編により能代科学技術高校という校名に変わったようです。私の地元、サッカーで有名な清水商業清水桜ヶ丘高校に変わったときも思いましたが、時代の流れにより仕方ないこととはいえ、由緒ある校名が変わるのは、正直ちょっと複雑な気持ちになってしまいます。

 

能代駅からは多くの乗車があり、車内もにわかに活気づいたところで、終点の東能代駅には定刻の10時37分の到着。

 

 

 

およそ4時間にも及ぶ五能線の旅もこれで終了。無事完乗することができました。

 

今日の宿泊地鷹ノ巣駅はここからほど近く、普通列車でも30分もかかりませんが、時刻はまだ午前中で、時間はたっぷりあります。ということで、少し足を延ばして秋田市方面へ行ってみることにしました。