富山地方鉄道富山港線の列車は定刻の14時ちょうどに富山駅を発車。終点の岩瀬浜駅に向け、市街地の中をのんびりと進んでいきます。

 

市街中心部から郊外へと延びる路線の宿命か、駅に停まるごとに乗客は減っていき、東岩瀬駅で降りたのは私1人でした。比較的利用率の高いこの路線ですが、この宿命にはさすがに抗えなかったようですね。

 

というわけで東岩瀬駅

 

 

ここまで連れてきてくれた列車にも別れを告げます。

 

 

ここ東岩瀬駅は、私の愛読書でもある故宮脇俊三氏『時刻表2万キロ』にも登場する駅ということで、ある意味聖地訪問になるのかな。その本書の中では、当時は国鉄富山港線だったこの路線を完乗すべくこの地にやってきた同氏ですが、自身の犯した失態により富山駅からやむなくタクシーを飛ばしたものの、結局間一髪で間に合わず、東岩瀬駅から岩瀬浜駅のわずか1駅0.9㎞を乗り残してしまうことになったという、なかなか強烈なエピソードとして記されています。

 

あぁこれがその東岩瀬駅か・・・

 

ちょっとだけ感慨深い気持ちになりつつ駅舎を撮影。

 

 

 

中は簡単な資料館兼待合室のようになっていました。

 

事前に調べたところ、この周辺は江戸時代北前船の寄港地として栄えた港だったとのこと。古い街並みや、重要文化財の北前船回船問屋森家などもあるということで、のんびりお隣の競輪場前駅まで歩いてみようと思います。

 

 

 

 

見るからに風情のある建物が思いのほか残っており、なんともイイ雰囲気。

 

 

 

『森家』も外観を撮影し、競輪場前駅を目指します。

 

 

レトロな映画の看板を掲げた建物などもあり、散策するには面白いところでした。

 

 

 

途中岩瀬諏訪神社に参拝し、旅の安全を祈願。残念ながら社務所は無人で、御朱印はいただけませんでしたが・・・

 

結局東岩瀬駅に降り立ち30分ほどで、競輪場前駅へ。

 

余談ですが、ここは旧国鉄時代にはなく、開業は2006年(平成18年)とのこと。

 

 

 

『競輪場前』の名にふさわしく、自転車の車輪?をあしらったデザインが目を惹きますね。

 

ほどなくしてやってきた14時52分発の列車に乗り1駅、終点の岩瀬浜駅には14時54分の到着です。

 

 

 

 

終点を示すクルマ止め。このアングル、なんか好きなんだよな・・・

 

前回この路線に乗ったときの記憶はあまり残っていないと書きましたが、さすがのこの終点の風景だけは見覚えがあります。確かあの時は高岡市を走る万葉線の終点越ノ潟駅からバスに乗ってここまで来たように思います。あれ?逆だったかな?

 

とにかく目的の富山港線再訪は達成されました。

 

トイレだけを済ませ、15時01分発の折り返し列車に乗り、富山駅方面へ戻ります。岩瀬浜駅滞在はわずか9分。なんとも慌ただしい乗り方で、運転士さんも『また乗るのね』みたいな表情を見せましたが、これが私の旅のスタイル。多様性が大切とされる現代にあっては、これも個性といってしまえばまったく問題ありませんw

 

行きは富山駅が始発でしたが、この折り返しの列車は市内線へ直通し環状線を一周、再びここ岩瀬浜駅まで戻ってくるという面白い運行形態をとります。

 

この列車に乗り、その環状線内の丸の内駅を目指すことにしましょう。