定刻の8時43分になり、ひだ3号名古屋駅を発車。

 

次の岐阜駅からは高山本線に入り進行方向が変わるため、それに合わせ座席が後ろ向きに設定されており、それまでは逆向きに走ります。この仕様、有名な所では秋田新幹線秋田駅大曲駅間があげられるでしょうか。他には特急ふじかわ静岡駅富士駅間も、同様に座席が逆向きに設定されています。個人的には、たとえ短時間であっても進行方向を向いていたいとは思いますが、車内放送でも、『ご理解ご協力ください』とあるので、ここはおとなしく従うことにしましょう。乗り合わせた外国人観光客の中には、座席を回転させている様子も見られましたが、特に気にしないことにします。まぁそんな彼らも、岐阜駅発車後にまた元に戻していましたが・・・

 

この列車は停車駅が非常に少なく設定されているようで、快調に高山本線を飛ばし進んでいきます。

 

遠目に国宝犬山城

 

 

国内にわずか4つしかない国宝の現存天守閣を持ち、私は数年前に一度だけ訪問した記憶がありますが、改めてまた行ってみたいと思わせてくれるほどの美しさに、しばし目を奪われます。

 

そして運行上の要衝となる美濃太田駅には、9時22分の到着。このあたりまでは広大な濃尾平野を進んできましたが、これより先はどんどんと山間部へと分け入っていきます。ただ次第に晴れ間が見え隠れするようになったのは、吉兆といえるでしょう。このまま晴れてくれよ!

 

ところが順調に進んできたと思ったら、白川口駅の手前で急ブレーキがかかり緊急停車。この感じ、ただ事ではないかもと思い様子を伺っていると、どうやら鹿と衝突してしまったとのこと。安全確認のためしばらく停車するとのアナウンスが入ります。なんか最近旅先で、こうしたトラブルにホントよく遭遇するような気がします。その最たるものは、2年前の北海道石勝線内での数時間にも及ぶ足止めでしょうが、その時も野生動物(ヒグマ)の影響でした。レアケースに遭遇するのは、運が良いとも考えることもできないこともないですが、せっかくの旅行気分が台無しになってしまうのは、正直とても残念に思います。とはいえ、運行が打ち切りになることもなく、23分遅れでの発車となったのは、不幸中の幸いと言っていいかもしれません。車内にも、安堵のため息が漏れ広がりました。

 

列車は美濃から飛騨へと入り、下呂駅に停車。結局定刻より35分遅れての到着となりました。これまで岐阜駅美濃太田駅と停車してきたものの、この2駅では乗下車とも動きはまったくありませんでしたが、ここにきてかなり多くの下車がありました。さすが日本を代表する温泉地の玄関駅。私は温泉にはまったくと言っていいほど興味がありませんが、やはり『日本三名泉』のネームバリューは伊達ではないですね。

 

そして列車は高山駅へ。ここでは大幅な乗客の入れ替えがありました。多くの外国人観光客が降りて、それと同じくらいの数の外国人観光客が乗ってくるという、ある意味特殊なこの状況、逆に自分がどこかの国へ旅行に来ているような錯覚さえしてしまうほど、不思議な感覚に襲われました。

 

高山駅では車両切り離しのため、5分ほど停車。終点の富山駅までは、あと90分ほどとなりました。4両と身軽になった列車は、さらに北上し、富山駅へ向け進んでいきます。