日本で最も面白いバラエティ番組政見放送であるのは、近年の定説となっているが、候補者が14人も乱立した東京都知事選挙の政見放送は、期待に違わぬ稀に見るレベルの高い、演芸内容であった。特に、後半に出て来た4人の候補者のレベルは超絶ともいえるもので、最後に出て来たドクター中松の言っている事がまともに聞こえてしまうほどのインパクトを残した。
ここで4人のネタを振り返ろう
高橋みつる
言語障害でも持っているのかと錯覚するほどグチャグチャで言っている意味が全くわからない日本語ながら、端々に小泉の演説は俺のを真似した等の高度なネタを織り込んだ高い技術は特筆物。
山口節生
ウルトラマンセブン型の眼鏡にカンペを隠す事無く堂々と掲げる見た目のインパクトで掴みを取り、畳み掛けるように端々に英語を使い出すという聴覚への攻撃も繰り出したうえ、最後はカンペの内容を喋りきる事ができず、ブツ切れで終わるというオチに悶絶。見ているものを次に喋る石原慎太郎の喋りなぞ聞いちゃいられない精神状態に追い込んだ攻撃力は、素晴らしいとしか言いようが無い。
また、毛沢東を支持する内容が突如飛び出すなど、思想のぶっ飛び具合も見逃せない。
佐々木崇徳
都政に関わる発言は最初の30秒だけ。後は、自分が訴えられた裁判に関わっている判事や会社の固有名詞を挙げながら電波発言で非難しまくるという、わが身を省みぬ危険な芸風を披露。
都知事選だから都政ネタをしなければならないわけではない、という新境地は新鮮であった。
しかし、もっとも恐ろしいのは、この人物が元警察官であるという事実である。
最後に挙げるのは外山恒一。
この男については、もう私の口から言う事はない。
youtubeにも間もなくアップされると思うが、ここでは文章として外山恒一の演説内容の全文を載せる。
とりあえず、見ていただこう。
(ナレーションによる経歴紹介)
東京都知事候補、無所属、外山恒一、36歳。
反管理教育運動を出発点に異端的極左活動家となり、いまどき政治犯として2年投獄され現在に至る反体制知識人。
では続いて、外山恒一さんの政見放送です。
(続いて本編)
(数秒の沈黙の後)有権者諸君、私が外山恒一である。
諸君、この国は最悪だ。
政治改革とか何とか改革だとか、私はそんなことには一切興味が無い!
あれこれ改革して問題が解決するような、もはやそんな甘っちょろい段階ではない!
こんな国は、もう見捨てるしかないんだ。
こんな国は、もう滅ぼせ。
私には、建設的な提案なんか一つも無い!
今はただ、スクラップ&スクラップ、全てをぶち壊す事だ。
諸君、私は諸君を軽蔑している。
このくだらない国を、そのシステムを、支えてきたのは諸君に他ならないからだ。
正確に言えば、諸君の中の多数派は私の敵だ!
私は、諸君の中の少数派に呼びかけている。
少数派の諸君、今こそ団結し立ち上がらなければならない。
やつら多数派は、やりたい放題だ。
私ら少数派が、いよいよもって生きにくい世の中が作られようとしている。
少数派の諸君、選挙で何かが変わるかと思ったら大間違いだ!
所詮、選挙なんか、多数派のお祭りに過ぎない!
我々少数派にとって、選挙ほど馬鹿馬鹿しいものは無い。
多数決で決めれば、多数派が勝つに決まっているじゃないか!
じゃ、どうして立候補しているのか。
この話は、長くなるから、掲示板のポスターを見てくれ。
ポスターは2種類あるから、どちらも見逃さないように。
私は、この国の、少数派に対する迫害にもう我慢ならない。
少数派の諸君、多数派を説得する事などできない。
やつら多数派は、我々少数派の声に耳を傾ける事は無い!
やつら多数派が支配するこんなくだらない国は、もはや滅ぼす以外にない!
改革なんていくらやっても無駄だ!
今進められている様々の改革は、どうせ全部全てやつら多数派のための改革じゃないか。
我々少数派は、そんなものに期待しないし、もちろん協力もしない!
我々少数派は、もうこんな国に何も望まない!
我々少数派に残された選択肢はただ一つ!
こんな国はもう滅ぼす事だ!
ぶっちゃけて言えば、もはや政府転覆しかない。
少数派の諸君!(声を裏返しながら)
これを機会に政府転覆の恐ろしい陰謀を共に進めていこうではないか。
ポスターに連絡先が書いてあるから、選挙期間中でも終わってからでもかまわない
私に一本電話を入れてくれ。
もちろん、選挙権の無い未成年の諸君、東京都以外の諸君でもかまわない。
我々少数派には、選挙なんて元々全然関係ないんだから。
最後に、一応言っておく。
私が当選したら、やつらはビビる。
私もビビる。
外山恒一に悪意に一票を!
外山恒一にやけっぱちの一票を!
でなければ投票に行くな!
どうせ選挙じゃ何も変わらないんだよ。
凄い、凄すぎる。
伝説の又吉イエスに引けを取らぬ内容だ。
ただ、又吉と違って、外山の場合は、明らかにパフォーマンスとして練り上げられた完成品といった印象。
とはいえ、300万の供託金を払ってこういうパフォーマンスをするとは、凄まじい根性だが。
