vol.11より続く
さて、最初の競売申立も終わり、全体像を眺めてみることにした。
私の担当エリアを見て、延滞先を地図にプロットした。
んー、たくさんあるなー。と。
そして、過去の記録をぜんぶ読み直した。
すると、話が途中になっているのが結構ある。
土地を売って返済するという約束になっているが、そのままになっていて、結局どうなっているのか分からない。
そういう「課題」を一つずつリストアップした。
で、その課題がどうなったか分かるような関係者に電話してみるのだった。
直接本人に聞いても、本人は知らんぷりを決め込んでいることが多い。
事情のわかっている第三者のほうが話が早いこともある。
そこで、ある方に電話した。
「この件、どうなってます?」
すると、
「ちょうど連絡したかった。他にもたくさん言いたいことがあるので、ちょっと来なさい」
とのこと。
ちょっとといっても、岩手との県境で、秋田市から車で片道3時間。
上司と一緒に行くことにした。
会議室に通された。
K課長が出てきて開口一番、
「おたくの前の○○さんには苦労させられた」
と愚痴話が始まった。
債権回収では、前任者の愚痴を聞くことから始まることが多い気がする。
こういうときは、だまって聞くしかない。
これだけで1時間もかかることがある。
しかし、だまって聞くしかないのである。
それから本題に入って、10数人の最近の状況を確認した。
そして、本人と面談したい人をリストアップして、伝えた。
これから「延滞者ローラー作戦」が始まるのである。
続く。