食品の軽減税率 | 熊本市の農業コンサルタント前之園行政書士事務所

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熊本の行政書士・中小企業診断士です。公庫資金、農地関連、経営改善、経営計画策定支援など。

9/14の日農の論説に出ていました。要するに、

食品の軽減税率が措置されると、農家は還付金を受けられる可能性が高くなりますが、その前提として課税事業者になっていないといけないわけで、それは事務負担がかかるので面倒だと言っているのですが、そのために税理士などの専門家がいるんじゃないの、と思う次第です。

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来年10月からの消費税率を10%に引き上げるかどうか、判断の時期が迫って来た。注視すべきは10%増税とセットで導入する「複数税率」だ。農家に新たな負担を強いるだけではない。消費税の払いすぎや農産物の出荷・取引で不利益が生じたり、煩雑な事務が増えたりと心配される。課税環境を整えた上で、導入を決断すべきだ。


複数税率は、消費税が課税対象によって二つ以上の税率になる。導入した国では食料品や出版物に通常の税率より低い「軽減」または「ゼロ」税率を適用している。我が国では食料品に適用される可能性が高い。


ぜひとも、食料品にはゼロ税率・軽減税率を適用してもらいたい。食は生きるための糧。税収が減ったとしても必要性と整合性がある。消費者とともに運動の輪を広げたい。


だが食料品などに軽減税率が導入されれば、農家には裏腹に課題が突きつけられる。①税率の「差」から生まれる”余分”な消費税を農家が負担する②免税事業者である農家は取引先から取引を断られる③こうした不利益を防ぐため書類作成などの事務負担が増大するーなどが予測される。


例えば、本来負担すべき消費者でなく、事業者である農家が消費税を負担する場面を想定すると。


ゼロ税率が適用された場合、農産物に消費税は上乗せされない。しかし農家は生産資材である苗や肥料を買い、そこにかかる消費税は支払っている。だが売る時にはその消費税を「転嫁」できない。支払った消費税が「還付」されない限り、支出した消費税は農家の負担となる。軽減税率がゼロでなくても預かる消費税を上回る、費用として支払った以上の額の消費税があれば同様に負担となる。


もう一つは、取引を断られる恐れが増えること。農家のほとんどは免税事業者(課税売上高が1000万円以下)である。免税事業者から仕入れた場合、買った事業者は仕入に関わる消費税が控除できなくなれば、免税事業者からは買いたくないと取引から排除されることは十分考えられる。


複数税率を導入した時には、払いすぎた消費税の還付を受けたり、取引から排除されないためにインボイス方式といわれる消費税率や額が書かれた書類の作成が必要になったりするとの意見も多い。簡易なものにするとしても、支払った両方の消費税額が分かる記帳や書類が必要になり、事務負担が増えるのは必至だ。そして売上高にかかわらず、税の還付を受ける、取引で不利な立場にならないためには課税事業者にならざるをえないことも予想される。


安倍晋三首相は年末に消費税率10%の導入を判断する。導入時には食料品への軽減・ゼロ税率の導入を強く要望する。加えて、農家など多くの小規模事業者が不利益を被ることがない仕組みをつくるべきだ。

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