日中友好文化交流の中で起こった事件 | 海南島からの手紙 season2(海南島ブログ)

日中友好文化交流の中で起こった事件

 

 

 ※↑三亜の鹿回頭公園モニュメント       

 

海南島の三亜に「鹿回頭公園」という観光地があり、ここにまつわる伝説がある。ある日リー族(海南の原住民族)の青年が狩りで鹿を追いつめた時、鹿が美しい人間の女性に姿を変え、その子と結婚する、という話だ(←かなりかいつまんだ:笑)。その話と日本の「鶴の恩返し」が似てるので、この2つを合わせた舞台を作った舞台監督さんと知り合った。 

 

「中学校のイベントに呼ばれ、子供たちに見せるので第一幕に特別出演してくれないか?」と頼まれた。面白いので「日本語でいいなら」と答えた。(私が中国語を話したら、大事な芝居を台無しにしてしまうあせる)なので、中国人の女優さんの後ろに、日本の鶴の幻影が見えるという設定で日本語で参加することになった。監督から「着物を着て欲しい」と頼まれ(海南は暑いので、着物と言っても浴衣)OKした。

 

しかーし、これがのちに大変な事になった。

なんと、その演劇グループの中に強烈な「反日感情」を持っているおばさんがいたのだ。

私の着物姿が気にいらないらしく、舞台袖で待っていると突然「子供たちの前で日本の和服姿で舞台にあがるなー!」とヒステリーを起こされたガーン 「は? 私は監督の指示でこれを着ているだけで、そもそもこれは日本の物語なんだから(着物を着るのは何の問題もないでしょう)」と言おうとしたら、全部言い終わる前にかぶせて「そんなの関係ない!着物を着て子供たちの前に出るのは間違ってる!!!キーッ」と大騒ぎ。唖然とする周囲の人。。。「あなたが二胡を弾いたり、チャイナドレスを着るのはいいけど、和服を着るのは許さないー!」と(←どういう論理なのか全然分からないはてなマーク

           

ちなみに舞台にはこのように出演者の写真が飾られていた(ここで二胡を持っている写真が私(笑))

 

いや~な空気が流れる中、主演の男性が間をとりもとうと試みたが、火に油を注ぎ、そのおばさんはヒステリーを起こす「脱げ!脱がないなら私が舞台に出ない!(そのおばさんも登場人物の一人)」 

とりあえず、聞き取れないフリをして監督に決めてもらおうと、監督を待った。監督はとにかく騒ぎをおさめたいので、折衷案として、羽織みたいのを上から着ればいいんじゃないか?となったが、こっちが腹の虫がおさまらない。服の上から浴衣を着てたので脱ぐのは簡単だ。

「じゃあ、これ脱ぎゃいいんでしょ!」とばかりに、みんなの目の前で思いっきり浴衣を脱いだ。

他の共演者さんが、気を使って私の脱ぎ捨てた浴衣を急いで拾って畳んでくれる。

「じゃあもう出演しないで帰りますわ!爆弾」と帰ろうかと真剣に悩んだが、せっかくのイベントの空気を悪くしたくないのと(すでに嫌な空気になってるが、、)、今まで一生懸命準備してきた監督のメンツを守る為に、歯を食いしばり我慢して、その場に残ったえーん

 

中国で長く生活してると、時々このような「反日感情の人」に理不尽な対応をされる。だいぶ慣れてはきたが、今回は今までで一番はらわた煮えくり返った出来事だった!言いたい事はいっぱいあったが、中国語力が足りない&場の空気を読み堪えた。そしてここは中国、アウェーの地であまり反発するとたぶん私にとっても不利になる。

 

監督からは、その日の夜と翌日と、何回にもわたって謝罪のメールが届き、他の人からも「あの人は東北人で年寄りだから」と慰められ、カメラマンをしてくれたおじさんも「着物姿、綺麗だったぞ」と(?)慰められる。とりあえず監督に思いっきりメールで文句をぶちまけ(中国語の文章なら100%言いたい事が言えるので)少しスッキリする。

その後周りの人と話して、日本人のみならず、日本語を教えてる先生や日本語を勉強してる生徒も少なからず、嫌な思いをしていることを聞いた。ある学生は「私が日本に留学したいって言ったら、文句言われた。クラスメートにもそういう子っているわ。アニメは好きだけど、その監督は日本人だから嫌いなんだって。言ってる事がメチャクチャでしょー」と言った。冷静に分析してる人も多いが、結局中国が反日教育を続けるかぎり、ある一定数の子供は反日感情を持って育ってしまう。なんとも残念なことだ。

 

また日本のメディアもいつまでも中国人批判を繰り返している。中国人を落として、自分たち日本人を持ち上げたいのが見え見えの記事を見ると恥ずかしいと共に悲しくなる。いつまでも中国の先を歩いてるつもりだろうがが、いくつかの分野では、圧倒的に負けていることにまだ気が付いていないのだろうか、或いは認めたくないのかもしれない。互いの国を認め合わないと、いつまでたっても良い関係にはなれないだろう。

 

「両国の教育やメディアの罪は重い」と改めて感じた出来事だった。