3567 エリートな男 | 誠fromなんたら男のBLOG

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エリートな男


近年、続々と後輩が入社している。


中途採用で入社したエリートな後輩に今、仕事を教えている。


六月の、一番環境が悪い季節に入社した彼は、大会社の元管理職。


百人の部下を従えていたという。


まだ36歳。


その経歴を以てすれば、何の不思議もない事なのだが、


とにかく理解力と修復力が長けている。


二度、同じミスをしない。 


二度、同じ質問はしない。


個性が強い先輩方に気に入られるのも時間はかからなかった。


先にも述べたが、そんな彼に俺が仕事を教えている。


数年後には上司になるだろう。


そう思っていた。


だがそこは、やはりこれだけの能力を持つ男。


周りが放っておく理由が無い。


どこかでそんな様な気はしていたが、


今日、俺だけに、まだ話してはいけない内容を教えてくれた。(ここには会社の人は来ないだろうし💦)


彼は間も無く退職をしてしまう。


前の会社から、再三お呼びが掛かっていたらしく、


条件を幾つか提示したら、それら全てを飲んででも帰って来て欲しいと返答されたのだとか。


道理で今週、元気が無かったわけだ。


ずっと一人で抱えていたんだそうだ。


管理職と今のヒラ職とでは、


給与面でも恐らく、相当の差があるだろう。


ただ、彼は、とても優しい人柄である故に、


偉ぶるのが性に合わず、過去の事も自らは語らなかった。


部下がこれだけいた事も今日初めて知った。


また、実母や祖母の将来を考えた上での転職だったと言っていた。


だから彼はずっと揺れていたそうだ。


決め手となったのは、奥様の一言だったらしい。  


今日、彼は言っていた。


正直、管理職に戻るのは憂鬱だと。


そして、今の職場が大好きだと。


中でも、親身になって育ててくださったので、どうしても一番先に伝えたかったのだと。


昼休みに、神妙な面持ちで自分のところに来て、そんな話を聞いた。


課長も会社もまだ、誰も知らないそう。


当然会社側は君を全力で引き止めるだろう。


自分達も皆、君が去る事を拒むだろう。


だけど、自分の人生だし、家族は大事だから、


それは仕方が無い事だよと伝えた。


そして、既にもう君を頼って働いていた事実も伝えた。


ただの一ヒラ職の俺が言うのも生意気なのだけど、


育ててくださっただなんて言葉は、余りにも烏滸がましく、つい本音を話した。

 

その時は明るく振る舞ったけど、


帰宅してから涙が出て来た。


とても残念で、とても寂しい。


早ければ二十日付け。


長くても一月いっぱいまでになるだろう。


せっかく出会えたのだからと、


会社では滅多にしない連絡先の交換をした。


彼には本当に色々教わった。


教えた事の何倍も大切な事を。


まだ時間はあるが、


体だけは大切にして欲しい。