真夜中の銀座4丁目。
目の前には黒服が2人、バーボンを片手に腰かけている。
いかついガタイ、眼光は鋭く、幾場の修羅場を越えてきたものにしか出せない”危険”な空気が漂う。
バーボンが注がれたグラスを持つ手。
ここである違和感を感じる。
小指が・・・小指がビンビンに立っている。
疑いの余地はない。
そう、彼らはオカマだ!!
はい、という訳でオカマバーデビューしてきました!
「オカマとお姉ちゃんどっちがええ?」
!?なんて気の利かない唐突な質問だろう。
そんなのお姉ちゃんの方が良いに決まってる。
けれど、自信満々に「お姉ちゃんっ!」と答えるのが何故か後ろめたかった井上元気改め、井上弱気。
「はい。じゃあ、せっかくなんでオカマで。」
あぁ、なんでやねん。
大きな後悔と少しばかりの好奇心をぶら下げ、いざ店内へ。
「あだ~いらっじゃ~い!」
あぁ・・・何て素敵なしゃがれたボイスだ。男の匂いがプンプンするぜ。
席に着いたのは冒頭のいかつい二人。パッと見はその筋の人。
見た目と中身のギャップとの相乗効果で、怖さ倍増。ビビる井上。
開けてしまった扉、もう元には戻れない。お姉ちゃんが急に恋しくなる。
「敬語じゃなくていいのよ~。」
いや、ムリです。
「ま~イケメン!抱きしめていいがしら~!」
いや、ムリです。
・・・と初めはこんな感じだったものの、酒と時間とトークが進むにつれて、
面白いこと面白いこと。
ひたすら爆笑。
それに、考え方や言ってることが常人とは違う視点で、面白い。
また、それがおおよそ的を得ている気がした。
最後に、「アンタ、男はプライドだけは捨てちゃ駄目よ!とことんやんなさい!」
すでに男というプライドを捨てた人からの名言。
OK、ありがとう。染みたよオカマさん。
やっぱり、ある種の人生を左右するような決断を下し、強く、
迷うことなく、自由に生きている人は生き生きと輝いてい気持が良い。
それが性別を変えるという、メイクミラクルをやってのけた人なら尚更というわけか。
よし!ならば、
「もう一軒!お姉ちゃんのとこ行きましょう!」
ありったけのプライドでそう言い放ち、僕は銀座の街に身を委ねた。