パン屋さんのお話。

もしかしたら、みなさまも噂を耳にされたことがあるかもしれません。

東京の目黒区にあるお店。

なぜ噂になったかといえば、
開店が夜中の(朝の?)0:30とか1:00とかで、2~3時間程で閉まってしまうから、というのが大きいかもしれません。
幻のパン、とか言われていたりしましたね。


私も。
最初は興味でした。
美味しい物も好きですし、独特な考え方や感覚は興味深い。
果たしてどんなパンを食べさせていただけるのかという期待が大きかったんですね。


伺ってみて、最近美味しいと言われるタイプの味ではないことは、すぐに気がつきました。
でも、
きっと、ある時代の、すごく丁寧なお仕事であったことも、よくわかりました。
その上で、なんの理屈もなく
「懐かしい味」で美味しいと思いました。

元々わたしは、
長い年月を経てきた方々の知識や経験や、にじみ出る独特の雰囲気。
そういう方々の懐かしさ、暖かさが大好き。

だからまさに、人柄にじむ『そういうお味』のこちらのお店は、すぐに大切な場所になりました。


でもね
さすがに近所に住んでいるわけではないので、そうしょっちゅうは買いに行けなくて…食べたいなぁって思っても、誰かに頼めるわけもなし。
なにしろ開店時間も正確じゃなく、長蛇の列ですし終電もないですからね…f^_^;
それに私自身、パラレルワールドみたいなあの場所で、あのご夫婦と関わりたいっていうのもあったし。



最後にパンをいただいたのは3月だったかなぁ

ミルクの味がするクリームの入った素朴なクリームパン。
シンプルな素材感の食パン。
それに挟まれた、家庭的な具材のサンドイッチ…
およそ一人分とは思えない量のパンを買って…

また行こうと思ってなかなか行かれずに先日。
伺ったらシャッターが降りたまま。お客さんも並んでません。

お店の前には張り紙らしきものの前で立ちすくむ男性がひとり。
その姿に定休日以外の違和感を感じた私は車を停めて、改めてお店の前に。

年内休業

…私も少し、たたずんでました。

噂によればお父さんが旅立たれたとか。
高齢の方にご迷惑かけたくないので電話で確認はしませんでした。

でも、
なんか、
とても、お礼を言いたいなって思って…
この場を借りて。

美味しいパンを、ありがとうございますm(_ _)m
って……。


.。*゜☆.yukana.☆.。*゜