一緒に水族館に行った事もあったね。帰りに観覧車に乗って。懐かしいなぁ。そういえばあの時帰り道で片方の手袋を無くしたって悲しんでたね。夕日に照らされてオレンジ色になった寂しげな顔を未だに覚えてる。一緒に勉強したりドライブしたり思い出は綺麗に残ってる。消したいはずなのに、消させまいとするかのようにどんどん綺麗になっていく。

何であの時もっと大切に出来なかったのか。いや、大切にしたいとは思ってた。けど仕方を間違えていた。結果論なのかもしれないけど…。 

…そう。結果論。こうしたら上手くいくなんて絶対的な答えなんて無いし、解らない。

けどあれから解った事が一つあるんだ。

 

「信仰」がないと祝福結婚は成り立たないって。当たり前のようだけど今痛感してる。

何をもって「信仰」なのかは別の話だけどね。

 

 

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家庭を持って間もない初夏の話。

 

最近一気に暑くなってきた。もう夕方だというのに変に蒸し暑く、最寄り駅から近くのスーパーに行く間で汗をかいてしまう。

コンクリート以外にもっと何とかならなかったのだろうかと元田舎者のひがみをぶつぶつ言いながら仕事帰りの電車の中で考えたご飯の具材をささっと選んだ。

駅からさほど遠くない所に家があるのが救いだが、そこまで階が高くないので夜に窓を開けれないのが難点だった。家に帰ると同時にエアコンとテレビを付けてお菓子をつまみ一息付く。

 

よし。

30分くらいゆっくりした所で決意して夜ご飯準備に取り掛かる。ご飯を炊きおかずを用意しワカメと豆腐のお味噌汁を作って主体者を待っていた。

19時半くらいだろうか。主体者が帰ってきた。

「ただいまー。今日さープレゼンしてさ、部ty….」

テーブルにある食事を見て主体者が一瞬固まった。

「……ぷプレゼンがでさー部長に良くやったされてさー」

明らかに動揺している。なんなんだ。

「いやー今日もおいしそうだぁ」

「なに?何か言いたい事あるなら言えばいいじゃん」

「いやぁ…今日のご飯てテーブルに乗ってるこれで全部だよね?」

「そうだよ当たり前じゃん。」

「…今日の献立言ってみて。」

「ご飯と、冷奴と、お味噌汁だけど?」

「……まーまーとりあえず食べようか。お腹減ってるし。」

「なにそれ。良いけど。」

よく解らないままその会話は終わりその後は普通の様子だった。

ご飯を食べ終わった瞬間、主体者が「ちょっと外行ってくるわー」とカギと財布を持ってどこかに行こうとした。

「えー?どこ行くの?」

「ん?いやーどこって訳じゃないけどちょっと買うの忘れてたからスーパー行く。」

「えー私も行く!」

「いやいやいや夜道は危ない。いるものあったら買ってくるから。」

変に焦っている。怪しい。

「行く行く行く!」

「…はいよ。」

閑念して貰い一緒にスーパーに行った。一体何を買うのかと見ていたら、買う物が決まってるとは思えない程あっちこっちをうろうろしたあげく、冷凍コーナーで止まり冷凍チャーハンを手に取った。 

「なにしてるの? ご飯今食べたじゃん。」

「いや…何かあった時の為に備蓄だよ備蓄。」

「えーそんなものいらないいらない!変なもの買わないでよ。」

そう言うと主体者は一瞬ムッとした表情をしたがすぐ表情が戻り冷凍チャーハンを戻し、結局何も買わずにスーパーを出た。

「そんなに冷凍チャーハンが買いたかったの?」

ムッとした事で怒っている事が分かった私は歩きながら主体者に聞いた。

「そうだけどもういいよ。」

「怒ってるでしょ?」

「…怒ってないよ。」

「嘘だ。怒ってる。」

「…怒ってないよ。…怒る時は怒ってるって言うよ。」

そうなのかと思い、無理やり彼の手を握り「何かよく解らないけどごめんね。」と一応謝った。彼はそれには何も答えなかった。

 

家に戻ってから、主体者は喋りはするものの口調のトーンが明らか低かった。

23時を過ぎた辺りで布団に入ろうとすると、

「ちょっと仕事残ってるから先に寝てて」

と言われ寂しかったがそれよりも眠たかったので、分かったと先に布団に入った。

暗闇でケータイをいじっていたがだんだん意識が薄れていく。気づいたらまぶたが閉じていて再度開き手から落ちているケータイを拾う。それを3回繰り返した時、もう寝ようとケータイをoffにし本格的に眠りに入る。

 

「ガチャ…」

意識が遠のく中で玄関のドアが閉まる音を聞いたような気がした。次の瞬間私の意識は完全に落ち、眠りに付いた。

 

次の日起きると主体者は横に寝ていた。

主体者は全面的に優しいのだがあまり自分の気持ちを言ってくれない節がある。昨日も結局何を思っていたのか解らずじまいだった。

「思ってる事があるなら言ってよ?」

仕事の支度をしている彼にそう言うと、昨日の事を言っていると察したように、自分でネクタイをキュッと締め直し私の顔をじっと見つめて真剣な表情で言った。

「良いの?」

ドキッとし冷や汗が出た。そんな言われ方をしたら一体何を言われるのかとビビってしまう。

「えーやだ。やっぱ言われたくないー」

と耳を塞ぎながら言うと主体者は、はははと笑いながら

「気持ちを言っても相手が受け止めれないんじゃそもそも意味ないからね。 大丈夫だよ。相手がが受け止めれない事なんて要求しないよ。 …自分の中の事は自分で処理するよ。」

そう言い仕事に出かけた。