会社の実力を連結決算で見るのは常識かもしれませんが、海外の子会社と連結している会社には注意を要します。それは、日本との税制の違いにより経常利益に対する税引き後利益の額が変わってくるからです。税制というより税率といった方が良いかもしれません。たとえば、日本国内で経常利益1億円を出す会社の税引き後の利益は概ね6000万円程度でしょうか。しかし、香港で1億円の経常利益を出す会社は、香港の法人所得税率が低いため税引き後、8300万程度の最終利益が香港で出ます。子会社で出している利益は、連結上は親会社と合算しますが、親会社に利益配当すると、その配当には、日本の法人所得税がかかります。日本の株主が受けとる利益は、子会社の経常利益1億円に対しては、あくまで6000万円となってしまいます。利益分配を日本の株主の立場から考えると、連結の利益は見せ掛けの利益であることになります。海外の会社と連結して、利益を多く出しているようでも、日本に利益を移転するにはそれなりのコスト(税)がかかるということです。

セントレックスに最近公開され、公募価格の半値近くになっているKFE Japanという会社があります。この会社が良い例で、香港100%子会社でほとんどの利益を稼ぎ出しています。この利益を現在の税制で香港法人から日本法人配当すると、法人所得税が課税された後の金額が日本で受けとれる純利益となります。

経営者としては、税金で持っていかれるなら現地で再投資することを選択します。したがって、日本の株主は、連結の利益の幻影を期待しながらも、実質意的には利益の分配はない状態が長く続くと予想されます。利益配当が始まるとしたら、香港の税率と日本の税率が近い数値になること、この会社が有り余るほどの利益を出すことのほかありません。現在、この会社の一株当たりの利益は、1100円程度、配当するには少なすぎます。

公募価格から半値になっているものの、新規投資は見送りが無難と判断しています。