王子製紙は、北越製紙との経営統合を断念する方針を固めたようだ。TOBの成立条件である50%超の株式取得が難しい状況によるためだ。TOBは応募が取得目標比率に達しないと成立しない。王子は目標を33・3%超にまで引き下げることで成立を優先させることも検討していた。そうなれば北越を完全支配はできないものの、経営に一定の影響力を持つことで将来の経営権取得につなげることが期待できるからだ。

北越株の約3%を保有していた王子は、経営統合することで北越の最新設備を活用し、王子の古い設備を廃棄して生産効率を上げることを計画していた。7月初め、北越にTOB計画を示して水面下で交渉を続けたが、経営陣の賛同が得られないまま、北越が21日に三菱商事に泣きつく形で三菱商事を引受先とする第三者割当増資を発表した。このままでは買収が困難になると見た王子は同23日にTOB方針を発表した。

今後、北越との経営統合を王子がめざすとしたら、目標を下げてでも、また一時的に三菱との表面上の関係が悪くなったとしても、TOBは、実施すべきである。北越との経営統合には、三菱商事(24・4%)との協力関係が不可欠である。現在のところ、三菱商事は、王子からの買収防衛のため、北越から第三者割当増資を受けたばかりであり、手のひらを返したような、王子との話し合いなど持てるわけがない。今回、TOBを断念することは、王子は永久に北越との経営統合を断念したことになる。三菱だって、いつまも話し合いに応じないともおもえない。

三菱商事は、漁夫の利で25%近くの北越株を手に入れ、取引関係の強化が出来たわけであるが、一方連結で10倍規模の王子との取引関係は損ねる結果となっている。三菱商事としても日本製紙グループと北越のみの取引だけで、満足するとは思えない。業界1位の王子との取引を損ねたいとは思っていないであろう。時が来れば、三菱も話し合いに応じる。王子は、北越の買収を断念した場合、買収に用意した金を投資に振り向けるか、新たな買収企業を見つけることになる。いずれにしても、北越の規模では、製紙業界には生き残っていけず、王子が買収しなくても他の買収先に買収されるであろう。今回、王子が買収を断念すれば、日本製紙グループが買収することになりそうである