僕は朝のバスが好きではない。
道路が少しでも混雑していると、定刻に到着できないからだ。
だから
自転車通学が難しい、雨天時・降雪時には電車を利用する。
今日もそうだった。
しかし
帰りとなると話は別だ。
公共交通機関とは、よくできたもので
数分の差で電車を逃しても、
その間を繕うかのように、ちょうどバスがやって来る。
今日もそうだった。
そして、僕は夕方のバスも好きになれなくなってしまう―。
ぼくが利用する駅は
予備校の最寄り、仙台駅だ。
電車の始発駅であり、市営バスの始発停留所でもある。
つまり、相当の混雑でない限りにおいては“座れる”わけだ。
もちろん、今日も座れた。
僕は公共交通機関で座席に座るのが好きではない。
先ほど“座れる”と強調したのはそういうわけだ。
席を譲るタイミングや
降車時に勉強道具が詰まった大きなリュックが他の乗客にぶつからないように歩くことなど
気を遣うべきことが多い。
だから始めから立っていようかと思うのだが、すぐ降りるわけでもないのに始発から立っているのは不自然であるし、リュックも重たいから(これがいちばんの理由)、座ってしまう。
前の座席には社会人と思しき女性が座っていた。
女性の後ろに座るとなれば、話は別だ。
だって、男の子だもん。
シャンプーか、香水か。
良い香りが
空気の流れに誘(いざな)われ
ぼくの嗅覚を、張り詰めた心を、やさしく包んでくれる。
バスも、悪くないかな…
しかし
試験も近い。
感傷にばかり浸ってはいられない。
リュックの中から参考書を取り出し、ページをめくり始めると
前にいる女性の肩に、ごつごつした男らしい手が伸び…
トン、トン。
耳にイヤホンを装着していた女性は男性の方を振り向き、
笑みを浮かべながら
イヤホンを外して一言。
「やっと話かけてくれたね。ウフッ。」
えーーーーーーーーーー!
何それェェェェェェェェェェェェェェェ!?
うらやまCィィィィィィィィィィィ!
そうして、その男女は、2人掛けのシートに仲良く座り、
冬のバス車内で会話に花を咲かせていましたとさ。
(次はー
恋の入り口、恋の入り口でございます。
お降りの方は、ボタンを…)
やはり僕は、バスが好きではありません(泣)