ゲイ占い師 豫 空潤です。
少し前の対面鑑定です。
ナリアキさん(仮名・40代ゲイ男性・関東在住)のプライバシー保護のため、多少変更しています。
ナリアキ「運勢全般を見て欲しいです」
僕「お聞きしている生年月日・生誕時刻・生誕地による西洋占星術出生図では、バランスのとれたお人柄で、よいご家庭に生まれ育ち……」
ナリアキ「人生の後半は?」
僕「長生きしますよ。ただし、喉や胸……心臓などの病気に気を付けてください」
ナリアキ「長生き……したくないです」
僕「遺産相続の星もお持ちですよ」
ナリアキ「遺産相続……できませんでした」
僕「そうなんですか? ご両親とか?」
ナリアキ「8年前に父が亡くなった時は、兄弟から『お袋のために、みんなで相続放棄しよう』って言われて……そうしました」
僕「……そうなんですか」
ナリアキ「4年前に母が亡くなったんですが……。コロナの真っ最中で、帰省できず………」
僕「お葬式に参加できなかったのですか? でも、遺産相続は書面などで……(できるのでは?)」
ナリアキ「兄から『お前は親族に迷惑かけたんだから、今回も相続放棄しろ』って言われて……放棄せざるを得ませんでした」
僕「迷惑かけた?」
ナリアキ「父の葬式の時に、僕がゲイをカミングアウトしたんです……」
僕「それが……迷惑になった?」
ナリアキ「父の葬式の後の酒宴で……父の弟……つまり叔父さんが酔っぱらって、僕に絡んできて……」
僕「結婚しろ……とか?」
ナリアキ「僕の家は男3兄弟で、兄も弟も当時既に結婚して……僕だけ40歳で独身だったんです」
僕「地方ですよね? 40歳で独身というのはあり得ない?」
ナリアキ「そうなんです。叔父さんが『お前の父ちゃんがずっと心配していた……』って、しつこく、僕が独身であることに絡んできたので……つい……」
僕「ゲイをカミングアウトしたんですね? タイミングはともかく、いずれ言わなければならないことですよね……?」
ナリアキ「そうなんです。タイミングが最悪だったんです」
僕「叔父さんが周囲にふれ回った?」
ナリアキ「その場で、酔っぱらってる叔父さんが『ナリアキ、オカマだったのか? 大丈夫か? 痔になるなよ?(原文ママ)』って大声で言ったんです」
僕「それは……」
ナリアキ「もう……その場の数十人が僕を見てきて……」
僕「居たたまれないですよね?」
ナリアキ「僕より、兄と弟が嫌がって……」
僕「どうなりました?」
ナリアキ「兄が突然『ナリアキ。明日仕事だろ? 今日の夜行バスで帰るんだろ?』って、無理やり途中退席させられて……」
僕「お兄さんからすれば、親族へのカミングアウトは許さない?」
ナリアキ「そうです。強制的に弟夫婦の車に乗せられ、東京行きの夜行バスで、東京に帰らされました」
僕「それは……」
ナリアキ「弟が言うには『俺達はうすうす感づいていた。あんなとこで言うなよ。俺達は地元でずっと暮らさなきゃならないんだ』って……」
僕「狭く、閉鎖的な地方では、同性愛のカミングアウトは親族全体に影響する?」
ナリアキ「うちは、地元では『本家』なんです。だから『本家の次男は、東京で変態になった(原文ママ)』ってなって、兄たちは『針のムシロだ』って言うんです」
僕「それで……家族に迷惑かけたってことで……相続放棄しろと?」
ナリアキ「なりたくてゲイになったわけじゃないし……。カミングアウトだって、自分からしたんじゃなく、叔父さんに絡まれて、つい……なのに……」
僕「お気持ちはわかりますが……カミングアウト自体は悪いことではありません。してよかったと思える日も来ますよ」
ナリアキ「遺産……欲しかったです」
僕「そうなんですか? 相続放棄の撤回は……?」
ナリアキ「調べたんですが……よほどの理由がなければ、できないんです」
僕「そうなんですね。でも、ナリアキさん、東京でお仕事されてますよね? 暮らしに困っているわけでは……(ないですよね?)」
ナリアキ「実家の家屋や土地・貸家を全部処分して、3兄弟で分けたら……5千万以上もらえたはずです」
僕「5千万? 相続税などを差し引いても?」
ナリアキ「最低でも5千万です。それで、東京にマンション買って……早期退職して、年金出るまで、悠々自適で暮らしたかったです」
僕「……」
ナリアキ「僕は、まともな彼氏ができたことないし……これからも独りだと思うんです。だから、せめて、人生後半は、お金の力で人生楽しみたかったです」
僕「人生設計が狂ってしまったと……?」
ナリアキ「賃貸のワンルームに住み続け、65歳まで働き続けなければなりません」
僕「まともな彼氏がいなかったとおっしゃいますが……出会いはありましたよね?」
ナリアキ「もちろん、ありました。若い頃は、結構モテたので、1人に絞れませんでした」
僕「それはそれで、楽しかったですよね?」
ナリアキ「まあ、そうです。1人に絞って同棲とかって、僕には妥協としか思えませんでした……」
僕「自由な恋愛を選択したんですね……」
ナリアキ「その結果……孤独な40代……それはいいんですが……せめて、金だけでも……」
僕「若い頃には、好きなことにお金を使ったのでは?」
ナリアキ「使いましたね。週に何度もゲイバーやイベントに行ったし……流行の服も買ったし……海外旅行にも、ひとりでよく行きましたね」
僕「……」
ナリアキ「だから……叔父に絡まれても、カミングアウトしてなければ……今頃、マンション買って……いつ早期退職しようかと、指折り数えていた……はずです」
僕「最初に、喉や胸、心臓の病気に気を付けてと申しましたが……まだ大丈夫ですよね?」
ナリアキ「今のところは……何もありません」
僕「じゃあ、いいじゃありませんか? とりあえず、健康で……仕事していて、暮らしに困る訳ではない……」
ナリアキ「でも……これから……」
僕「食事と運動に気を付け、お酒やタバコをのみ過ぎないようにして……ください。長生きの相ですから」
ナリアキ「いや……遺産が欲しかったんです」
僕「庶民の大半は、遺産などもらえません。もらえたとしても、親の介護と引き換えです。介護のために仕事を辞めざるを得ない人もいます」
ナリアキ「僕の父も脳卒中で倒れて、5年間、体が不自由でした。母も晩年は車いすでした」
僕「そういうご両親を、地元にいたお兄さん夫婦や弟さん夫婦が世話していたのではないですか?」
ナリアキ「……多少は、していたと思います」
僕「その間、ナリアキさんは東京でゲイライフを送っていたんですよね?」
ナリアキ「好きでゲイに生まれた訳ではありません」
僕「それは、みんなそうです。でも、老親の介護をするゲイもいます。せざるを得ないゲイも……」
ナリアキ「年取った親の面倒を見なかった僕は、遺産をもらえなくても、仕方ないのですか?」
僕「せっかく来たのですから、アドバイスカードを引いてみませんか? 裏返しのゲイタロットカード78枚を並べてます。気になる1枚をめくってください」
ナリアキ「……では……これを」
↑「自己嫌悪」正位置。
子どもがいる男女の夫婦に憧れ、ないものねだりするゲイ男性。
「隣の芝生は青く見える」のです。
地方のノンケ(異性愛)夫婦には、言わないだけで、それなりに苦労もあるのです。
人を羨んでも、恨んでも、いいことはありません。
自分の道を生きるしかないのです。
僕「ナリアキさんは、ナリアキさんの人生を生きましょう。過去を悔やんでも、戻ることはできません。これからのことを考えましょう」
ナリアキ「遺産相続のことは……諦めます。でも、せめて、時々は実家に帰りたいです」
僕「お兄さんたちは、まだ怒っているのですか?」
ナリアキ「兄夫婦からも、弟夫婦からも、年賀状は来ます。でも、帰ってこいとは言われません」
僕「ご両親のお墓参りだけ、したらどうですか?」
ナリアキ「兄の家や弟の家には行かず……?」
僕「年賀状でも、メールでもいいから、『〇月〇日に墓参りに行きます』って伝えてみては?」
ナリアキ「もしかすると、兄や弟が『家に来い』と言ってくるかもしれない?」
僕「お父様のお葬式でのカミングアウトから8年でしょう? もう怒ってないのでは?」
ナリアキ「もし、兄からも弟からも『家に来い』と言われなかったら?」
僕「お墓参りだけして、東京に戻ればいいです。……もう1枚、アドバイスカードを引いてみてください」
ナリアキ「では……これを」
↑「カップの6」正位置。
ゲイカップルのプレゼントの思い出。
昔の思い出が役に立ちます。元気をもらえるのです。
僕「大丈夫です。お兄さんや弟さんと会えますよ」
ナリアキ「そうですか?」
僕「お兄さんと弟さん……仲良かった時もあったでしょう?」
ナリアキ「子どもの頃は、3人で遊んでました」
僕「和解できますよ」
ナリアキ「とりあえず、あまり期待せず、『コロナが明けたから、墓参りに行く』と伝えます」
僕「そうしてみてください」
ナリアキ「ありがとうございました」
僕「こちらこそありがとうございました」
さて、今日のパンセリノス・オラクルカードです。
↑「黄金のライオン」
立派なたてがみの堂々たる雄ライオンです。
ちょっとのことでは動じない風格があります。
あなたも、揺らぐ必要はありません。
「王者」なのですから。
そのままで、自信を持ち続けてください。
↓占いの師である、霊観占 大幸 峰ゆり子先生。