ゲイ占い師 豫 空潤です。

 

子どもの頃、「猿の惑星(1968年)」をテレビで観て、衝撃を受けました。

 

類人猿(チンパンジー・ゴリラ・オランウータン)たちが高度な文明を築き、世界を支配し、人間は奴隷化されている惑星という設定に魅入られたのです。

 

その後、何作も続編が発表され、たぶん、いくつか観たのですが……あまり記憶に残っていません。第1作ほどの魅力を感じなかったのでしょう。

 

この「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」も、2011年公開当時、テレビなどで予告編を見た記憶はあるものの、映画自体は観てませんでした。それほどの興味は持てなかったのでしょう。

 

しかし、先日、テレビで放送していました。軽い気持ちで録画し、同棲する日本人ゲイ男性Tommyと観たのですが……予想以上によかったです。

 

ご存知のように、「猿の惑星」とは未来の地球のこと。第1作で宇宙飛行士テイラーがたどり着いた、猿が支配する惑星には猿たちが近づかない古代遺跡があり、それは「自由の女神像」だった……という衝撃の結末があるのです。

 

では、なぜ、人間が支配する地球で、猿たちに支配権が移ってしまったのか?

 

その疑問を解決するのが、今回の「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」。「はじまりのはじまり」と言われるように、「人間が支配→猿たちが支配」になる起点を描いています。

 

「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」2011年アメリカ映画

監督:ルパート・ワイアット

脚本:アマンダ・シルヴァー リック・ジャッファ

出演:ジェームズ・フランコほか。

受賞:サターンSF映画賞

 

前半のあらすじ(ネタバレします)

 

製薬会社ジェネシスに勤務する若手科学者ウィルは、アルツハイマー治療用試験薬ALZ112を開発し、雌のチンパンジー(ブライトアイズ)に投与実験する。

 

ブライトアイズの知能は急速に向上し、人間の幼児を遥かに上回る。しかし、幹部たちへのプレゼンテーションの日、ブライトアイズは突然狂暴化し、実験室を脱出し、プレゼンテーション会場で大暴れし、射殺されてしまう。実は、ブライトアイズは身ごもっていた。生まれてくる我が子を守ろうとして、人間に牙をむいたのだった。

 

ブライトアイズの体内から取り出された雄の子は、生きていた。殺処分を命じられた飼育係は「これまで12頭も殺した。もう嫌だ」と、ウィルに雄の子を託す。

 

困惑しながらも、自宅に連れていくウィル。自宅は、アルツハイマー型認知症を患う父チャールズとの2人暮らしだ。

 

ウィルは、認知症がひどくなる一方の父チャールズに、雄のチンパンジーへのミルクやりを頼む。チャールズは驚く、生後2日のチンパンジーの子が、自分で哺乳瓶を抱え、独力でミルクを飲み始めたのだ。雄の子はシーザーと名付けられた。

 

シーザーは、母ブライトアイズから、ALZ112による脳や神経の急成長遺伝子を受け継いでいた。シーザーは、同年齢の人間の子を上回る速度で知能を発達させていく。言語を発することはできないが、人の言葉を聞き取り、手話で応答できるようになった。

 

3年後、ウィルは、いまだにALZ112試験薬にこだわっていた。しかし、製薬会社の幹部たちは、プレゼンテーションでの修羅場事件から、ALZ112を見限っていた。絶望したウィルは、認知症が悪化した父チャールズにALZ112を密かに投与する、違法行為と知りながら……。

 

チャールズは、劇的な回復を見せる。すぐに認知症患者ではなくなった。

 

一方、3歳のシーザーは、ますますの成長を見せていた。自室である屋根裏部屋では、シーザーはアクロバティックな遊びをするも……窓の外が気になる。外では人間の子たちが自転車で遊んでいるのだ。

 

自転車への興味を抑えられないシーザーは、隙を見て、外に飛び出し、隣家の納屋の自転車のところに行く。しかし、自転車に乗る前に、隣家の人たちに見つかって大騒ぎになり、隣家の男にバットでぶたれ、ケガを負わされてしまう。

 

ウィルは、ケガをしたシーザーを動物園の獣医(若い女性)キャロラインに連れていき、治療を依頼する。ウィルと意気投合したキャロラインは、ウィルの家のシーザーの部屋を訪れ、回復したシーザーを郊外の森に連れていくことを提案する。

 

ウィルは、チャールズやキャロラインやシーザーと郊外の森に遊びにいく。巨木が生い茂る森に放たれたシーザーは大喜びで、木から木へと飛び移って遊ぶ。

 

5年後、知的にも肉体的にも人間の大人並みに成長したシーザー(言語だけは発することができない)。だが、ウィルの父チャールズは、認知症患者に逆戻りしていた。ALZ112に対する抗体ができてしまったのだ。

 

いつものように郊外の森に出かけたウィルとキャロラインとシーザー。そこでシーザーはよその家族が連れてきた犬に吠えられてしまう。「自分は何者なのか?」「ペットなのか?」とシーザーは訴える。「僕はお父さんだよ」と答えるウィルに、シーザーは納得しない。

 

観念したウィルは、シーザーに製薬会社ジェネシスを見せ、シーザーが生まれた経緯と人間並みに賢い理由を正直に伝える。

 

獣医であるキャロラインは「チンパンジーは好き。でも、怖れてもいる。大人になれば大きく強い動物になる」と言い、ウィルに「あなたはしてはいけないことをしている」と諫める。だが、ウィルは耳を貸さない。

 

ある日、フラフラと外に出たチャールズは、目の前の乗用車のドアが開いているのを見て、乗り込んでしまう。禁じられている運転をしたかったのだ。チャールズは、不用意にアクセルを踏んでしまい、前後に駐車している車に激しくぶつけてしまう。

 

物音に気付いた隣家の男(車の持ち主)が駆けつけ、チャールズを車から引きずり出し、通報しながら罵倒する。チャールズが攻撃されてると思ったシーザーが外に飛び出てきて、隣家の男に飛び掛かって襲い、ケガを負わせる。

 

パトカーが駆けつけ、近所の人々がシーザーを怖れながらも取り囲む中、シーザーは危険動物として、霊長類保護施設に送られてしまう。

 

必死にシーザーを取り返そうとするウィルだが、「裁判所命令でできない」と言われてしまう。動物として屈辱的な扱いを受けるシーザーを守るために、敢えてシーザーの施設送致に協力せざるを得ないウィル。

 

ウィルはシーザーに「今日は家に帰れないが、すぐにここから出してやる。またすぐに会いに来る」と告げ、施設から立ち去る。檻に入れられ、残されたシーザーに浮かぶ絶望感。

 

ウィルは、シーザー奪還に尽力するとともに、ALZ112の実験再開を幹部に訴えていた。当初、相手にされなかったが、チャールズが一時は劇的に回復したと聞き、幹部は実験再開を決める。

 

金儲け優先の製薬会社幹部は、複数のチンパンジーにALZ112投与実験をおこない、以前と同じく、驚異的な知能の成長を見る。

 

ウィルが「1頭ずつの慎重な実験のはずだ」と抗議しても、受け付けられない。既に、ウィルは実験スタッフから外されていたのだ。

 

ウィルは、キャロラインを連れて、ようやくシーザーの面会にこぎつけた。しかし、まだ引き取ることは許されない。施設の飼育係から日常的に虐待され、他のチンパンジーたちから集団いじめに遭っていたシーザー。その目には、絶望と恨みしかない。ウィルに対しても、置き去りにされたと感じているのだ。

 

ウィルに見捨てられたと思ったシーザーは、自力で何とかしようとする。

 

シーザーは、前にいじめてきたチンパンジーのボスを、群れの前で知恵をつかってやっつけた。これで、シーザーが群れの新ボスだ。

 

一方、追い詰められたウィルは、霊長類保護施設長を買収し、シーザーの解放に成功する。しかし、シーザーは、ウィルの家に帰ることを断る。

 

ここには、たくさんのチンパンジーだけでなく、巨大で強すぎるゆえに狭い檻に閉じ込められっぱなしのゴリラや、サーカスに元いた賢すぎるオランウータンなど……気の毒な仲間が大勢いる。シーザーは、自分だけ抜け出すわけにはいかないのだ。

 

シーザーは、オランウータンと手話で話し、情報交換していた。そして、深夜、知恵を使って密かに抜け出し、ウィルの家に戻る。ウィルはキャロラインとベッドで眠っていた。シーザーはウィルたちを起こさず、ALZ112を盗み、霊長類保護施設に戻って、仲間たちのいる檻で大量に噴霧させる。

 

仲間の猿たちは、次々と脳が活性化し、賢くなっていく。そして以前、虐待してきた飼育係の男たちに対し、シーザーが復讐する。虐待してた男は、不運も重なり、死んでしまう。

 

飼育係から鍵を手に入れたシーザーは、巨大なゴリラを解放する。それから、収容されているチンパンジー・オランウータンらの檻も開けてやる。全員を引き連れ、脱走する……。(ここまでが、ほぼ前半)

 

 

この後、シーザー率いる猿の群れは、自分たちを虐げてきた人間たちに復讐するとともに、自分たちだけで暮らそうとする……。

 

後半部分は、シーザーや猿たちの視点に立てば、虐待し、物扱いしてきた人間に対して逆襲する、してやったりのシーン……。

 

人間の立場に立てば、もともとの強大な身体能力に加えて、知恵がついた猿たちに襲われる恐ろしいシーン……。

 

この映画のヤマ場は、間違いなく、後半の猿軍団と人間社会の攻防でしょう。それでこそ、「猿の惑星(1968年)」の起点にもなるのです。

 

しかし、僕が心を揺さぶられたのは前半です。人間用の治療薬開発のため、生まれてしまった、人間並みに賢いチンパンジーのシーザー。成り行きで育てることになったウィルは、シーザーを息子のようにかわいがるが、1歩家から出れば、シーザーはただの猿でしかない。

 

そして、シーザーが成長するにつれ、チンパンジーとしての強大な身体能力ゆえ危険動物とされ、動物施設に隔離されてしまう……。

 

昔、同じような事例をテレビで見聞きしました。

 

子どものいない女性がチンパンジーの赤ん坊を飼い、ミルクをやり、洋服を着せ、我が子のようにかわいがりました。(今の法律ではできません)

 

しかし、成長したチンパンジーは成人男性の数倍の筋力を持ちます。チンパンジーが大人になれば、1対1では到底、手に負えなくなるのです。その女性も、どうしようもなくなり、我が子のようなチンパンジーを、動物園に預けることにしたのです。

 

映画の中で、獣医の女性キャロラインが「チンパンジーは好きだが、怖れてもいる」「(ウィルがシーザーを人間のように扱うことは)してはいけないことをしている」と言っていること……が正論なのです。

 

人間と猿を同等に考えると、人間の方が明らかに極悪非道です。何の罪のない猿を捕まえ、動物園という見世物目的の刑務所に入れたり、動物実験という名で健康体にメスを入れたり、わざと病気にしたり、死に至らせたり……人間に都合が悪い事態が起こると、駆除ということで殺したり……。

 

地球の生物のトップに立つ人間というものは、なんと傲慢で、悪逆非道な存在なのでしょう。この映画は、そんなことまで考えさせられます。

 

更に言うと、この「猿の惑星」原作者ピエール・ブール(フランス人)は、第2次世界大戦下の仏領インドシナで日本軍に捕まった捕虜の経験から、原作の小説を書いたのです。

 

当時、東アジア人は「黄色いサル」という蔑称で呼ばれていた。20世紀前半までは、アジアは欧米列強が植民地として支配したり、文明を教えたり輸出したりする相手。それが1940年末の真珠湾攻撃で「黄色いサル」が欧米列強に牙をむき、欧米並みの兵器(ゼロ戦など)を作って、戦争を仕掛けてきたのです。

 

つまり、「猿の惑星」で人間を支配していた猿たちのモデルは日本人だということ。

 

「猿の惑星」シリーズは、娯楽映画です。「猿の惑星 創世記」は、CGを使った猿たちのアクションシーンが見事です。でも、「人間と動物は何が違うのか」「なぜ、人間はすべての地球上の動物をここまで支配しているのか」「人間とは何か」を考えさせてくれる作品なのです。

 

では、今日の易タロットです。 

↑「 火雷噬盍 (からいぜいこう)」

男性が2人いて、1人が何か主張していますが、相手はどこ吹く風です。伝わってないのです。

 

あなたのしようとすることはうまく行きません。目に見えない障害物があるのです。

障害物が何か、わかれば取り除けますが、それまでイライラしたり、不快に感じたりするでしょう。

 

うまく行かない時期なのですから、自己主張や強行突破はしない方が賢明です。

 

もちろん、障害物が取り除かれたら、もう大丈夫です。

 

↓占いの師である、霊観占 大幸 峰ゆり子先生。 

 

↑峰ゆり子先生宅玄関前の観音像(北海道苫小牧市)