ゲイ占い師 豫 空潤です。

 

少し前の対面鑑定です。

 

ミツキさん(仮名・50代ゲイ男性・関東在住)のプライバシー保護のため、多少変更しています。

 

ミツキ「人生折り返しているのに、いまだに自分が何者か、わかりません」

 

僕「占いの申し込みフォームには『ゲイorバイセクシャル男性』と書かれましたよね?」

 

ミツキ「そう思っていましたが……今思えば、思い込みというか、周りに合わせていたのかも……」

 

僕「多くのゲイ男性は、子どもの頃から、あるいは思春期にはゲイやバイセクシャルだと自覚し始めるのですが……」

 

ミツキ「私は、高校・大学では女の子と付き合っていました。が、その女性が好きというよりも、男は女と付き合うもの……という思い込みから、親しくなった身近な女性と映画や食事に行っていました……」

 

僕「デートしているという自覚はあったのですね? 何度かデートして……手をつないだり、キスとか……?」

 

ミツキ「ハイキングした時、足場の悪いところで、彼女に手を貸したりはしました。でも、私から彼女に触れたいという気持ちにはならないんです」

 

僕「彼女の方は?」

 

ミツキ「彼女は何も言いませんでしたが……私を見る目が……手を出してくるのを待っているように見えて……つらくなって別れました」

 

僕「その気はないけど、形だけキス……ということはなかったのですね?」

 

ミツキ「キスとかしたら……彼女は、ハッキリと恋人って感覚になるじゃないですか? 私には『女友達』以上の気持ちはなかったんです」

 

僕「高校・大学ですから……オナニーとかはされてましたよね?」

 

ミツキ「そう。そこなんです。男友達が時々『オナニーのオカズ』って言う時、今思えば、私はわかってなかったんです」

 

僕「……と言うと?」

 

ミツキ「私、その頃、オナニーする時に『オカズ』なんて使わなかったんです」

 

僕「動画も静止画も使わない?」

 

ミツキ「そうです。自分で触って……それだけなんです。そもそも、男も女も、人の裸に興味ないんです」

 

僕「ナルシストというわけでもないんですね?」

 

ミツキ「違うと思います。鏡が嫌いですから。お風呂入る時、自分の体が鏡に映ると、嫌なんです……」

 

僕「嫌なんですか? なりたい自分と、かけ離れていたのですか?」

 

ミツキ「そういうことだと、今はわかってます。が、若い頃はモヤモヤしているだけでした……」

 

僕「ご自分をゲイ男性だと思っていた時期もあるのですよね?」

 

ミツキ「社会人になって少し経った頃、ニューハーフと呼ばれる人たちが盛んにテレビに出ていて……すごく興味もったんです」

 

僕「ニューハーフになりたいと思ったのですか?」

 

ミツキ「そういう気持ちもあったのでしょうが……当時は、既にサラリーマンになってましたし……一応は男として生きてきたので……」

 

僕「ニューハーフになるというのは、現実的ではなかった?」

 

ミツキ「なりたいとか、なれるだろうとかという気持ちは持てず……ただ、ほんとに存在するのか? 実物に会ってみたくて……」

 

僕「新宿に行ったのですか?」

 

ミツキ「そうです。で、キョロキョロしてたら、おじさんから声かけられて……」

 

僕「ゲイのおじさんですね?」

 

ミツキ「そうです。新宿がゲイタウンというのは知ってましたから……おじさんの目的はわかりました」

 

僕「嫌ではなかった?」

 

ミツキ「おじさんについて行ったら、どうなるんだろう? っていう興味が出てきて……一緒にホテルに行ってしまいました」

 

僕「どうでしたか?」

 

ミツキ「おじさんの顔も覚えてないのですが……オナニーよりずっと気持ちよくて……自分の求めていたものはこれだ! って思いました」

 

僕「おじさんのことは特に好きではないが、ゲイセックスにハマったのですね?」

 

ミツキ「私は、抱かれたい、愛されたい、気持ちよくされたいんです」

 

僕「そのおじさんとは?」

 

ミツキ「それっきりです。電話番号のメモをもらった気もしますが……電話しませんでした……」

 

僕「やっぱり、そのおじさん自体を好きではなかったんですね?」

 

ミツキ「そうです。でも、新宿には毎週行きました」

 

僕「声かけてもらうために?」

 

ミツキ「そうです。普通に仲通り歩いて、誰からも誘われなければ、ゲイバーなど、いろいろ行きました」

 

僕「当時は20代? モテる時期ですよね?」

 

ミツキ「あの頃はモテましたね」

 

僕「それで、ご自身をゲイ男性と思った?」

 

ミツキ「そうなんです。女性とデートしようなどと、全く思わなくなって……自分の人生に女性との恋愛や結婚はないと、ハッキリわかりました」

 

僕「でも、今は、ゲイなのかどうか……わからなくなっている?」

 

ミツキ「いろんなゲイの男性と会って……お付き合いもして……なんか違和感を覚えてきたんです」

 

僕「違和感?」

 

ミツキ「私みたいに、女性的というか、しゃべり方がオネエっぽい男性はたくさんいても……ほとんどは体鍛えてマッチョを目指し、短髪にしてヒゲ生やして……」

 

僕「イカニモゲイ……ですね?」

 

ミツキ「私、イカニモゲイがいいとは思えなくて……自分でもなりたくないんです」

 

僕「そういうゲイの人も多いですよ」

 

ミツキ「あと、私、ゲイのAVを見ないんです。見ても興奮しないんです」

 

僕「そうなんですか?」

 

ミツキ「男女のAVの方が、ずっと興奮します」

 

僕「もしかして……ご自分をAV女優に重ねて見ている?」

 

ミツキ「……そうなんです。30代になってから……そこに気づいて……」

 

僕「女装願望は?」

 

ミツキ「あったと思います。で、ゲイバーで話したら、女装グッズを貸してもらって……」

 

僕「どうでしたか?」

 

ミツキ「でも、ゲイバーに来るゲイの人は、女装する人に拍手はしても、誘ってはこないんですよね」

 

僕「女装者好きの男性は、女装バーに行きますからね」

 

ミツキ「そうなんです」

 

僕「で、女装バーに行ったんですか?」

 

ミツキ「女装グッズをひと通り揃えて……3回行きました」

 

僕「3回でやめた理由は?」

 

ミツキ「誰からも誘われなかったこともありますが……。私と同じような体型の先輩女装子さんの話を聞いて……」

 

僕「失礼ですが、身長・体重を教えていただけますか?」

 

ミツキ「178×80です……これでも、最近5㎏痩せたんですが……」

 

僕「ゲイ男性なら、大きくて、ガッチリ型はモテますが……」

 

ミツキ「女性になるには大きすぎるんです。その先輩女装子さんは、女性ホルモンやって、性別適合手術までしているんです。それなのに……今でも女子トイレや温泉の女湯に入れないって……」

 

僕「女子トイレなどに入ろうとすると、ジロジロ見られる?」

 

ミツキ「通報されそうになったこともあって……あわてて逃げたそうです。街歩くだけでも、人混みが左右に分かれて、モーゼみたいに……」

 

僕「モーゼの海割り……ですね?」

 

ミツキ「女性として埋没したいのに……どこまで女体化させても、もともとの体格・骨格のせいで……」

 

僕「……」

 

ミツキ「結局、埋没するためには、男性に戻るしかないって……言ってました。普段はメンズを着て、帽子やマスクで髪と顔を隠して……。せっかく揃えたかわいい服は、夜の街でしか着られない……って」

 

僕「それで、ミツキさんは……女性になろうとするのは……」

 

ミツキ「はい、断念しました……30代の時は……。その頃は、男性のままでも抱いてくれる人がいたんです」

 

僕「で、今……また心が揺れている?」

 

ミツキ「そうなんです。40代後半から、彼氏がいなくて……。50歳超えて……残りの人生はあと何年だろうって考えて……」

 

僕「で、去年まで、コロナで……」

 

ミツキ「コロナで、自宅にいることが増えて……また、昔のスカートを引っ張り出して、家で女装して……」

 

僕「でも、今日は男性の姿ですよね」

 

ミツキ「男性の自分も好きではありませんが……女装した自分も嫌なんです。ただの女装おじさんにしか見えなくて……」

 

僕「……」

 

ミツキ「インターネットで『女装』『男の娘』を画像検索すると、若くてかわいい女の子がたくさん出てきて……。自分もこうなれたら……どんなにいいかって思います」

 

僕「……」

 

ミツキ「手術したいという気持ちはないんです。でも、手術や戸籍変更した人の記事を読むと、『男のままで生きていたくない』って書いてあって……」

 

僕「ミツキさんには、そこまでの気持ちはない……?」

 

ミツキ「ないんです。日常生活は男でいいんです。ただ……男性に愛され、抱かれたいんです」

 

僕「男性のままでも可能でしょう?」

 

ミツキ「若い頃は可能でした。でも、今は無理です。愛する側・抱く側なら相手はいますが……」

 

僕「……」

 

ミツキ「ごめんなさい。ただの愚痴ですよね? 占いの相談にもならないですよね?」

 

僕「タロットのアドバイスカードを引いてみませんか? ミツキさんへのアドバイスカードになります」

 

ミツキ「お願いします」

 

僕「ここに、裏返しのタロットカード78枚があります。気になる1~2枚をめくってください」

 

ミツキ「では……これと……これを」

↑「聖職者」リバース(逆さま)。見やすくするために正位置で貼り付けてます。

正位置なら、人からの有益なアドバイスを意味しますが、リバース(逆さま)はその逆。

自身の判断で構わないということです。

 

↑「節制」正位置。

空飛ぶ魔神の肩に乗り、空中散歩する女性。

バランスを保つことが何より大事です。

 

僕「ミツキさんは、周囲や人のことを気にしすぎです」

 

ミツキ「自分でも、そう思います」

 

僕「モーゼの海割りになっても、いいじゃないですか? 着たい服を着ればいいのです」

 

ミツキ「そうですね」

 

僕「あと、バランスというか、使い分けをしていいんですよ」

 

ミツキ「使い分け?」

 

僕「ゲイなのか、トランスジェンダーなのか……そういうカテゴリー分けは要らないんです。仕事は男性で、家にいる時は女性で……いいじゃないですか?」

 

ミツキ「何者か? って考えなくていいってことですね?」

 

僕「LGBTQのQ(クエスチョン)でいいじゃありませんか?」

 

ミツキ「……50過ぎて……いまだに自分がわからないなんて……恥ずかしいですが……」

 

僕「誰にも迷惑かけてませんから……」

 

ミツキ「そうですね」

 

僕「恋人探しだって……柔軟に考えていいんじゃないですか?」

 

ミツキ「実は……最近、トラニーチェイサーって言うんですか? 女装子好きの男性とやり取りしていて……」

 

僕「いいじゃないですか?」

 

ミツキ「その人、年下なんです。しかも、女装姿も男性の姿も両方見たいって言うんです……」

 

僕「ギャップが好きな人っていますよね?」

 

ミツキ「なんか、珍獣を見たいのかな……って思って……」

 

僕「『好奇心で会いたいのなら、お断りです』って言えばいいのではないですか?」

 

ミツキ「そうですね。なんか傷つくのが怖くて……会うのを引き延ばしにしてました」

 

僕「会って失礼な男だったら、怒鳴りつけてやればいいですよ」

 

ミツキ「私は、並みの男より力あるし、私が胸ぐらつかむと、たいていの男はビビります……」

 

僕「その意気ですよ」

 

ミツキ「でも、やりませんよ、滅多なことでは……」

 

僕「わかってますよ」

 

ミツキ「……そうですね。何者であっても、私は私……ですよね?」

 

僕「そう思います」

 

ミツキ「気楽に……自分に素直に生きていきます」

 

僕「そうしてください」

 

ミツキ「ありがとうございました」

 

僕「こちらこそありがとうございました」

 

さて、今日の易タロットです。

↑「水地比(すいちひ)」

男性1人を女性5人が囲んでいます。みんな微笑んでいて、楽し気な会話が聞こえてくるようです。

 

人と協力し合う大切さを表しています。

しかし、恋愛となると、話は変わります。5人の女性たちはライバル関係になるし、男性の方も、1人に絞れている状況ではありません。

 

と考えると、女性たちの和やかな表情にも疑いの余地が出てきます。中には他を出し抜こうと考える人もいるかもしれません。

 

無防備に誰でも信じていいわけではありません。

人を見極めた上での協力関係が大事なのです。

 

↓占いの師である、霊観占 大幸 峰ゆり子先生。  

 

 

↑峰ゆり子先生宅玄関前の観音像(北海道苫小牧市)