ゲイ占い師 豫 空潤です。
映画「カメラを止めるな」が、低予算B級映画ながら興行成績がよく、2019年日本アカデミー賞を受賞したのは知ってました。
が、観る気はありませんでした。
それは、あらすじが「ゾンビ映画を撮影していたら、本物のゾンビが現れ、出演者やスタッフがパニックに陥る……も、監督が『これこそホラーだ』とカメラを回し続け……」とあったから。
このところ、日本でも映画などで登場する「ゾンビ」。あまりにも出てくるので、世界中で起こる普遍的現象のように思う人もいるかも……?
いや、そんなことはない。
たとえば「幽霊」は科学的実証はないが、世界中で膨大な数の目撃例が伝えられる。「幽霊」が登場する小説・映画・ドラマも昔から数えきれないほどある。実在を信じる人も少なくない。
が、「ゾンビ」は違う。もともと、アフリカのブードゥー教由来。コンゴ出身の奴隷たちが西インド諸島ハイチで「ゾンビ」を言い伝えた。だから、近年でも、ハイチでは「ゾンビを見た」という証言がある。
*調べてみると、「先日亡くなった人物とそっくりな人を市場で見かけた」で、「他人の空似」の可能性大だと言う……。
つまり、「ゾンビ」について、日本では歴史的根拠も目撃例も皆無。「ゾンビ」を日本の映画などで登場させる場合は、アフリカや西インド諸島ゆかりの人物を登場させるか、「ゾンビ」によく似た伝染性の病気とするか……などの何らかの「設定」が必要なのである。
実生活で考えれば、よくわかる。日本で身近な人が「昨夜、幽霊を見た」と言うなら、何割かの人は「本当かもしれない」と思うだろう。しかし「昨夜、ゾンビが現れた」と言われて、信じる人がいるだろうか?
コントや子供向けの漫画でなく、大人向けの実写映画で「ゾンビ」を登場させるには設定が必要である。それは、視聴者のためだけでなく、「ゾンビ」に襲われた人間(俳優)に「ゾンビだ! 逃げろ!」というセリフを言わせるためでもある。
前置きが長くなったが、そういう理由で「カメラを止めるな」を観る気はなかった。同棲する日本人ゲイ男性Tommyもまた、予告編等を見て、「面白くなさそう」と思っていた。
しかし、先日、僕がよく録画するNHKBSで「カメラを止めるな」が放送されることを知り、一応、録画した。日本アカデミー賞受賞作品が必ずしも面白いとは思わないが……念のためである。観てつまらなかったら、途中でやめればいいと考えたのだ。
ところが、「カメラを止めるな」をTommyと一緒に見始めて、数分……ちょっと考えが変わった。
「カメラを止めるな」ストーリー①
地方の廃墟を借りておこなわれたゾンビ映画の撮影現場で、監督が、ヒロインの女優に「本気で怖がれ! お前は嘘だらけの人生だから、演技が嘘っぽいんだ」と怒鳴り罵倒しまくる。
見かねた男優(ゾンビ役)が止めに入り、メイク担当が「休憩しよう」と提案する。
その休憩時間に、メイク担当が、女優と男優にある都市伝説を話す。
「この場所(撮影現場)は、旧日本軍が死体蘇生実験をおこなったところで、呪文を唱えると死人が生き返る……」
携帯電話の電波も届かない僻地の廃墟。ちょうどその時……怪しい物音が聞こえてくる……。
この展開で、僕は「この映画を観続けることができる」と思いました。
もちろん「旧日本軍? 何十年前のこと?」「呪文で生き返る?」など、突っ込みどころはあります。
でも、アフリカや西インド諸島の「ゾンビ」を何の説明もなく登場させ、相手役も即座に「ゾンビ」だと認識し、「咬まれたらゾンビになる」と理解して逃げる……という、リアリティゼロの展開よりは、ずっとマシです。
ゾンビ映画としての(僕の中の基準の)最低限をクリアしたので……「カメラを止めるな」を見続けました。
「カメラを止めるな」ストーリー②
映画撮影中、次々とゾンビに襲われ、出演者やスタッフがゾンビ化していく……。女優と男優とメイク担当の3人は、恐怖に怯えながらも、力を合わせ……ゾンビから逃げる。しかし、ついに男優もメイク担当も、ゾンビにされてしまう。
孤立した女優は、夢中で斧を振り回し、ゾンビになった男優やスタッフたちの頭を切り落とす(ゾンビは頭部を損傷すると動かなくなる)……。そんなヒロインに「その表情だ!」と、いつまでもカメラを回し続ける監督の首まで切り落とす。
ゾンビたちの返り血を浴びて血まみれのヒロインは、たったひとりで斧を片手に、死体を蘇生させた五芒星のマークの上に呆然と立ち続ける……。
これで終わるなら、まちがいなくB級映画です。しかし、これで終わりではないのです。この後が面白いのです。
前半部分のたくさんの「突っ込みどころ」「伏線」を、後半で見事に全部回収しています。俳優陣もうまいですが、脚本(構成)がすばらしい。
「カメラを止めるな」2017年日本映画
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之(監督役) しゅはまはるみ(メイク担当役) 真魚(監督の娘役) 秋山ゆずき(ヒロインの女優役) 長屋和彰(ヒロインの相手役男優役)など
最後に、少しだけネタばらしします。この映画は「ホラー映画」「ホラーコメディ」と紹介されることが多いのですが……。
それは諸般の事情であって、実はホラー映画ではありません。「ホラー」以外の部分が面白いのです。最後まで観ればわかります。
さて、今日のゴーストタロットです。
↑「太陽」
リバース(逆さま)。見やすくするために正位置で貼り付けてます。
前回も出た「太陽」ですが、今回はリバース(逆さま)。太陽に背を向けている人物の姿勢(態度)の方が強調されます。
せっかくの「チャンス」「好機」を生かしてません。もったいないです。
↑「ワンドのナイト」正位置。
ナイト自身はやる気満々です。しかし、馬が動きません。
「草が食べたいのか」「この先の道が怖いのか」「体調が悪いのか」……走ってくれるはずの馬の事情を考慮しなければなりません。
2枚を合わせ読むと、
あなたの「やる気」を生かしましょう。まずは、「何に対して努力すべきか?」です。
目指す方向を見定めましょう。
↓占いの師である、霊観占 大幸 峰ゆり子先生。