NHK　Eテレ「こころの時代　あなたはあなたらしく　牧師・平良愛香」

ゲイ占い師　豫空潤です。

ご存じのように、世界3大宗教は、キリスト教・イスラム教・仏教（ヒンドゥー教・ユダヤ教を入れて5大宗教とする人も）。

その中でも最多の信者数はキリスト教。

キリスト教の聖書レピ記18では、近親相姦や人妻の不倫などとともに、同性愛を禁じている。

更にレピ記20ー13では「女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべきことをしたので、殺されなければならない」と、ゲイに対して死罪を命じるような文がある。

実際、同性愛者に対して、聖書を根拠にして「神に背く行為」と考える人は膨大に存在する。

日本ではあまりいないが、欧米には、面識のない同性愛者に危害を加え、ひどい場合は殺してしまう人もいる。

（逮捕後の様子からすると）殺人罪で逮捕されても反省しない人が少なくない。「殺人は人間の法律では罪だが、神のルールでは同性愛者こそ殺すべき。自分は神に従っただけ」などと、宗教対立によるテロ犯罪者のような自供をする人もいる。

同性愛者のほとんどは生まれつきである。大人になってから「同性愛に目覚めた」と言う人もいるが、よく聞くと「思春期の頃に同性の先輩に憧れてた……」などと、元から要素があった人が大半である。社会のモラルに従おうとして、自身の同性愛要素を否認し続けてきたが……何らかのきっかけで、認めざるを得ない状況になったのである。

そういう、自分で選んでもない性的指向の者同士がお互いを愛し、大切に思うだけで……突然、理不尽な差別を受けたり、ひどい場合は殺されたりする……。そんな犯罪行為を指示する団体があるとしたら、それはまさしくテロ集団である。

世界最多の信者数のキリスト教がテロ犯罪の元凶？

何十億人という信者も、世界中にいる聖職者も、そのことをどう考えているのか？

信者はまだいい。自分の信仰の中……つまり心の中で、同性愛などについて自分なりの解釈をすればいい。

しかし、信者に「聖書には〇〇と書かれているから」などと、教える立場の聖職者はどうなのか？

あなたのせいで、同性愛者たちは殺されているのではないですか？（今も世界中で少なくない性的少数者が殺され続けています）

間接的に傷害や殺人に加担していることをどう思っていますか？

……というような疑問を、ゲイ当事者の僕は長年心に抱いてきました。

僕自身は、教会が経営する幼稚園に通い、教会主催の日曜学校や英語塾にも行きました。（実家は仏教ですが、縁があって行かされました）10代の頃に街頭で「神の教えを学びませんか？」というキリスト教宣教師に声を掛けられ、話を聞いたことも何度かあります。

だから、キリスト教の聖職者には、まじめで、人の役に立とうとする誠実な人が多いことを知っています。成人後、キリスト教が性的少数者を迫害してきたことを知っても、キリスト教聖職者などを表立って糾弾しなかったのは、そういう思いからです。

しかし、21世紀の今でも、「神に背く行為だからLGBTは認めない」という意見を聞くと……絶望してしまいます。

先日のNHK　Eテレ「こころの時代　あなたはあなたらしく　牧師・平良愛香」という、ゲイ牧師のドキュメンタリーを視聴しました。

平良愛香さん（55）は沖縄県出身の牧師（男性）。物心ついた時から男性が好きだったが、キリスト教徒の両親に「神様があなたを造った。あなたらしく生きればいい」と言われて育ち、人と違うことを素直に受け入れていた。

しかし、キリスト教系の全寮制高校時代に、キリスト教がゲイを否定していると知り、「神様に嫌われてる」「一生隠さなければならない」と悩んだ。「治療法」を調べてみたら、精神病院で電気ショックという、拷問のようなことがおこなわれ「女の子が好きになった」と無理やり言わされる行為だった。

修道院に入って一生禁欲生活することも考えたが、「あなたらしく生きなさい」という両親の教えとは違うと思った。

幼いころから親しんでいたキリスト教と、自分の性的指向の板挟みになり、自殺まで考えた平良氏だが……解決策はない。

そして、教会というより、両親から聞いていたキリスト教のヒューマニズムと性的少数者排除が、どうしても結びつかない。

よく考えると、聖書には「障碍者＝汚れ」という差別のような記述もあるが、現代の教会で障碍者を排除するところはない。

当時通っていた教会の牧師にカミングアウトしてみた。思いがけず牧師は祝福してくれた。こういう牧師さんがもっともっと必要だと感じた。

そこから「たとえ、教会が性的少数者を認めなくても、神様はあなたを認める。神様があなたを造ったのだから」という結論に達し、性的少数者を擁護する聖職者に自身がなったのである。

平良氏が日本キリスト教団の教師検定試験を受ける時、「簡単に牧師にすべきではない」「同性愛者なのは構わないが、不特定多数の男性と付き合うのはやめて欲しい」という声が上がった。同時に「異性愛者には聞かないことを同性愛者だから質問するのか？」という意見も上がり、面接試験が他の人の数倍時間がかかったという。

「あなたはサタンだ」という電話も平良氏に対して（何度か）あった。同性愛当事者からだった。

「同性愛が直るように日々祈っているのに……あなたの存在が邪魔になる。（直さなくていいという）誘惑になる。だからあなたは悪魔だ」というものだった。

平良氏は「同性愛は罪でないと確信してますが……神様があなたのために道を備えるように、あなたのために祈ります。神様はあなたに1番いい道を備えてくれます」と答える。電話の相手は泣き出して、最後は感謝してくれるという。

ゲイをカミングアウトした牧師である平良氏のところには、教会に否定されて悩む全国の性的少数者からの相談が寄せられる。トランスジェンダーや、どの性に対しても恋愛感情や性的感情を抱かないアセクシャルの人からもだ。

「誰でも恋愛感情や性的感情があるという前提での話が多すぎて、いたたまれない」というアセクシャルの人からの声に、平良氏は、「知識が必要だ。自分も加害者で他の人を傷つけているかもしれない」と話す。

平良氏は、全国の教会で講演活動をしている。

NHK　Eテレ「こころの時代　あなたはあなたらしく　牧師・平良愛香」は、4月13日13時～　NHK　Eテレで再放送予定。

さて、今日のゴーストタロットです。