ゲイ占い師 豫 空潤です。

 

少し前の対面鑑定です。

 

エイジさん(仮名・50代ゲイ男性・関東在住)のプライバシー保護のため、多少変更しています。

 

エイジ「最近、眠れないんです」

 

僕「不眠症ですか? 私もそうです。睡眠導入剤を飲んでいます」

 

エイジ「眠れますか?」

 

僕「一定の効果はあります。ただ、飲み続けていると、効きにくくなってくるので……注意が必要です」

 

エイジ「注意が必要というと?」

 

僕「今まで1錠ですぐ眠れたのに、30分後にやっと眠れるとか、1時間近く経たないと眠れないとか、果ては1錠では眠れなくなるそうです。かと言って、2錠に増やすわけにはいかない」

 

エイジ「2錠はダメなんですか?」

 

僕「内科のクリニックで処方してもらっているんですが、医師は、あまり処方したくないんですよ」

 

エイジ「患者がため込んで悪用する……この間の歌舞伎役者の心中事件とか?」

 

僕「そうです。行政から、処方の量を制限されているらしいんです。どうしても睡眠導入剤をたくさん飲みたいなら、精神科に行ってくれと言われます」

 

エイジ「精神科? 精神病でないなら、行きたくないですね?」

 

僕「だから、飲むのは毎晩1錠だけと決めてます。それでも眠れない夜は仕方ない……とあきらめます」

 

エイジ「あきらめて……朝まで起きている?」

 

僕「さすがに、明け方にはウトウトしますね」

 

エイジ「私は朝まで一睡もできない時があります。これからのことを考えると、どうしていいかわからず、眠れないんです。睡眠導入剤は内科で処方してもらえるのですね?」

 

僕「風邪でかかった時などに『ついでに』処方してもらえばいいと思います。で、これからのこと……が、お悩みなのですね?」

 

エイジ「私はゲイですが、若い頃はそれなりにモテまして、楽しく過ごしていたんです。でも、このところはさっぱりです。どこに行っても、どんなに募集やアプローチをかけても、誰も私とつきあってくれません」

 

僕「恋人ができにくいというのですね? お友達はどうですか? ゲイ友とかは?」

 

エイジ「ゲイ友は3人いましたが、1人は女性と結婚し、1人はゲイ同士で同棲して、話がかみ合わなくなりました。もう1人は親の介護で地方に帰ってしまい、たまにメールするだけです」

 

僕「話がかみ合わないというのは?」

 

エイジ「女性と結婚した方は、子どもが生まれて『熱出した』とか『保育園の送り迎え』とかで、大変なんですよ。私たち独身ゲイの『男できた?』という話に乗る余裕はないんですよ」

 

僕「そうなんですね? かと言って、我々独身ゲイが、既婚者のお子さんの話につきあうのも……」

 

エイジ「はい、彼とは住む世界が違ってしまったんです」

 

僕「ゲイ同士で同棲しているゲイ友さんとも、話がかみ合わないのですか?」

 

エイジ「既婚者ほどではないんですが……。『飲みに行こう』って誘うと『相方も連れていくから3人で』って言われるんです」

 

僕「え? ダメなんですか?」

 

エイジ「1~2度、3人で会ったんですが、何かというと、恋人同士で目と目を合わせてうなずき合うんです。僻みかもしれませんが、イライラします……」

 

僕「……」

 

エイジ「なんでゲイカップルって、どこに行くにも2人セットなんですかね?」

 

僕「それが、カップル継続の秘訣なんですよ」

 

エイジ「カップル継続?」

 

僕「同性カップルって、日本ではまだ法的拘束力ないし、簡単に別れられるんですよ。でも、せっかくだから継続したい。すれ違いや行き違いは、できるだけなくしたいんです。だから、遊びに行くときは一緒が一番なんです」

 

エイジ「相手の浮気を警戒しているんですか?」

 

僕「それも含めて、カップルって信頼関係が大事じゃないですか? 相手がどこで何しているか知っておきたいんですよ」

 

エイジ「見せつけるつもりはないんですね? でも、見せつけられているように思ってしまうんです」

 

僕「……」

 

エイジ「あと、最近増えているゲイドラマとかゲイ映画……必ず、愛し合う相手がいるんですよね? そして、大半は同棲とかラブラブな結末になる……」

 

僕「恋愛ドラマですからね。男女物もそうでしょう?」

 

エイジ「でも、リアルなゲイの悩みを描くなら、相手がいない孤独とか……老いていく不安とか……そういう方が、ラブラブカップルより多いと思うんです」

 

僕「ゲイの孤独や不安を描いた作品もあると思いますが……主人公としては難しいかもしれませんね。視聴者としては、ハッピーエンドを望みますから」

 

エイジ「結局、モテないゲイや年取ったゲイは脇役なんですね」

 

僕「恋愛ドラマ自体が、どうしても若者中心になりますよね」

 

エイジ「まあ、ゲイの老人が性欲を持て余してイライラする……という映画やドラマは成立しませんよね? 誰も、そんなもの見たくない……」

 

僕「エイジさんは、まだ若いでしょう」

 

エイジ「でも、既に孤独や不安で眠れないです。数年後、定年になったら……。話す相手が誰もいません」

 

僕「定年後の再雇用制度などは?」

 

エイジ「毎日、年下上司に嫌味や皮肉を言われて、本当はすぐにでも退職したいくらいです。定年延長とか、再雇用とか……考えただけで地獄です」

 

僕「時々、ウリ専ボーイを買うのを楽しみにするゲイのシニア男性もいますが……」

 

エイジ「それも考えました。でも、ボーイに恋してしまい、なけなしの貯金を使い果たすと……もっと困ります。定年後は、年金がでるまで、貯金と退職金を取り崩す生活になりますから」

 

僕「ボーイに恋してしまいそう……若い男性がお好きなのですね?」

 

エイジ「私自身が、まだ10代後半~20歳そこそこのセルフイメージなので、同世代はおじさんに見えるんです」

 

僕「エイジさんの心は少年……なのですね?」

 

エイジ「恥ずかしくて誰にも言えませんが……そうです。だから、ゲイデビューした18歳に戻りたいです。あの頃は、どこに行っても、声かけてくる人がいた……」

 

僕「……」

 

エイジ「だから、ウリ専ボーイを買うとしたら、私がボーイに抱かれたいんです、息子のような若い子に……」

 

僕「そういうお客にも、ボーイはプロですから、応じてくれるでしょう?」

 

エイジ「もうひとりの自分が、そんな自分を見たら、思い切り嘲笑いたくなりますね。初老のおじさんが何やってんだ? って……」

 

僕「そういう人……結構いると思いますよ。みんな、人に言わないだけです」

 

エイジ「そうなんですか? だったら、少しホッとします」

 

僕「占いは、どうなさいますか?」

 

エイジ「タロットカードへの質問文ですよね? 何をどう聞いたらいいのか、よくわからないのです。10数年前まで、性欲解消が趣味であり、仕事の疲れを癒し、幸せを感じる原動力だったんです。それが……なくなって……楽しいことが何もないんです」

 

僕「ここに、ゲイタロットカード78枚が裏返しに並んでいます。気になる1~2枚をめくってください。エイジさんへのメッセージになります」

 

エイジ「では……これと……これ」

 

↑「カップの6」正位置。

恋人からのプレゼントに喜ぶ男性ですが、これは過去の話です。

エイジさんも「過去」をもっと見つめましょう。「回想録」のようなものを書いてもいいでしょう。

 

↑「金貨の賢人」正位置。

庭仕事をする男性です。

日々のこと、小さなことにも喜びがあります。ただし、人によって内容は異なります。

エイジさんにとって「それは何か?」を模索しましょう。

 

エイジ「回想録? 本を出すのですか?」

 

僕「出版はお金がかかったり大変ですから……日記のように1人で書いて思い出すだけでもいいし、ネットにはゲイ体験の投稿サイトもあります」

 

エイジ「ゲイ体験投稿サイト? なんか、若い頃のモテ自慢になってしまいそうですが……」

 

僕「自慢していいじゃないですか? 名前も顔も出さないのですから。それに、ネットサイトですから、モテなかった不幸を嘆いても、それこそ誰も読みたくありません。ちょっと自慢ぐらいが面白いんです」

 

エイジ「庭仕事は……ちょっと無理ですね。アパートの2階で庭はないんです。鉢植えを買ったことはありますが、すぐに枯らしてしまうんです」

 

僕「庭仕事は1つの例です。料理でも工作でも、語学や手話の勉強でも、なんでもいいんです」

 

エイジ「ヨガは……ちょっと興味あります。瞑想して、心が落ち着きそうで……」

 

僕「いいじゃないですか? ネット動画なら無料だし……」

 

エイジ「そうですね。体硬いので、みんなと一緒は恥ずかしいと思っていたんですが……動画をまねるだけなら……ちょっとやってみようかな」

 

僕「そうですよ。なんでもやってみることです」

 

エイジ「なんか、話を聞いてもらって、アドバイスカードもひかせてもらって、参考になりました。やってみます。ありがとうございました」

 

僕「こちらこそ、ありがとうございました」

 

さて、今日の千一夜タロットです。 

↑「勇気」リバース(逆さま)。見やすくするために正位置で貼り付けてます。

巨大な大蛇が暴れています。

 

1人の男性が剣1本で立ち向かおうとしています。無謀にも見えます。

しかし、大蛇は既に男性に気づき、襲い掛かろうとしています。

 

逃げたくなりますが、逃げても、すぐに追いつかれてしまいそうです。

 

↑「金貨の2」正位置。

山のふもとの小川の辺で、男性が1人、座って縦笛を吹いています。

歩くわけでもなく、小川の魚を釣るわけでもなく……何かがやってくるのを待っているようにも見えます。

 

2枚を合わせ読むと、

あなたは強大で理不尽なものに襲われようとしています。

逃げたくなりますが、逃げられません。

 

あなたができることは、待つこと……慌てないこと……。平常心を保ち、誰も傷つけないでいれば、味方はきっと現れます。

 

↓ 占いの師である、霊観占 大幸 峰ゆり子先生。  

 

 

↑峰ゆり子先生宅玄関前の観音像(北海道苫小牧市)