ウォーキング・イン・スペース:クインシー・ジョーンズ | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
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WALKING IN SPACE : QUINCY JONES

 今年8月23日に亡くなったクリード・テイラーはジャズの大衆化に多大な貢献をしました。また彼の創設したCTIレコードではクロスオーバー・ミュージック、その後のフュージョンのブームを作りました。クリードなくしてはフュージョンを語れません。クリードはABCパラマウント・レコードのプロデューサー時代の1960年に同社内にジャズ専門レーベルであるインパルス!レコードを発足し、翌1961年にヴァーヴ・レコードに移籍しました。そして1967年にA&Mレコード内にCTIレコード(当時の名称はCreed Taylor Issue)を発足させました。この時代のレコードではA&M/CTIと表記されていました。このレーベルではアントニオ・カルロス・ジョビンやウェス・モンゴメリー、ジョージ・ベンソンらのヒット・アルバムを制作しました。それらのアルバムに共通するのは非常に分かり易く心地よいサウンドであり、その後のクロスオーバーに発展する音楽で、当時は“イージー・リスニング・ジャズ”などとも言われていました。今回紹介する作品は今や米国音楽界の大御所クインシー・ジョーンズのA&M/CTIで制作されたアルバムです。参加ミュージシャンはクインシー・ジョーンズ(arr, cond)、フレディ・ハバード (tp, flh)、J.J.ジョンソン(tb)、ローランド・カーク、ヒューバート・ローズ (reeds)、トゥーツ・シールマンス(hca, g)、ボブ・ジェームス(el-p)、エリック・ゲイル(g)、レイ・ブラウン(el-b, b)、チャック・レイニー(el-b)、グラディ・テイト(ds)、ヴァレリー・シンプソン(vo)他でフュージョの先駆けとも言える作品です。

 

1.DEAD NED(デッド・エンド)

2.WALKING IN SPACE(ウォーキング・イン・スペース)

3.KILLER JOE(キラー・ジョー)

4.LONE AND PEACE(ラヴ・アンド・ピース)

5.I NEVER TOLD YOU(アイ・ネヴァー・トールド・ユー)

6.OH HAPPY DAY(オー・ハッピー・デイ)

 

 1曲目「DEAD NED(デッド・エンド)」と2曲目「WALKING IN SPACE(ウォーキング・イン・スペース)」はミュージカル“ヘアー”からの曲で脚本・作詞はジェームズ・ラドとジェローム・ラグニ、作曲はガルト・マクダーモットです。アルバム・タイトル曲の“WALKING IN SPACE”ではヴァレリー・シンプソンのヴォーカルがフィーチャーされています。3曲目「KILLER JOE(キラー・ジョー)」はベニー・ゴルソンの曲です。ここではレイ・ブラウンがウッド・ベースを弾いています。レイ・ブラウンは他の曲では珍しくも主にエレクトリック・ベースを弾いています。4曲目「LONE AND PEACE(ラヴ・アンド・ピース)」はアーサー・アダムスの曲で、エリック・ゲイルがたっぷりとフィーチャーされています。この曲ではチャック・レイニーがエレクトリック・ベースを弾いています。5曲目「I NEVER TOLD YOU(アイ・ネヴァー・トールド・ユー)」は映画“雨に濡れた舗道”のテーマ曲です。トゥーツ・シールマンスの美しいハーモニカがフィーチャーされます。6曲目「OH HAPPY DAY(オー・ハッピー・デイ)」はエドウィン・ホーキンズの曲 で。1993年 には映画“ 天使にラブ・ソングを2”で使われました。またSTUFFもライヴで演奏していました。クインシーは曲によって参加メンバーを変え、その曲にふさわしいメンバーを配置しています。この手法はその後のクインシーのヒットアルバムでも踏襲されました。