愛のコリーダ:クインシー・ジョーンズ | かえるの音楽堂

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THE DUDEQUINCY JONES

(1981年)

 クインシー・ジョーンズの最大のヒット作であり、ブラコン、フュージョン・シーンのモンスター・アルバムです。この当時クインシーのアルバムは、ジャズからブラコン色が強まってきており、その集大成である大ヒット作「スタッフ・ライク・ザット」を出したのが1978年です。そしてこの「愛のコリーダ」発表までの3年間の間に、自身のレーベル「クウェスト・レーベル」を立ち上げました。またプロデューサーとしてはジョージ・ベンソンの「ギブ・ミー・ザ・ナイト」やマイケル・ジャクソンの「オフ・ザ・ウォール」といった大ヒット・アルバムを制作しました。となると当然ですがクインシーの新作にも期待が高まります。そんな期待の中で1981年についにニュー・アルバムが発表されました。その出来は期待以上の最高傑作となりました。アルバム全9曲中から「Ai No Corrida」をはじめ4曲がシングル・カットされ、そのすべてがヒット・チャートを賑わしました。シングル・カットしなかった曲も含め、収録されたどの曲も完成度が高いものでした。クインシーは並外れたポップ感覚と時代感覚の持ち主であったことを物語っています。また翌年にはマイケル・ジャクソンの大ヒット・アルバム「スリラー」を製作しており、まさに世界最高の名プロデューサーでありました。このアルバムでは総勢約30名以上の多くのミュージシャンが参加していますが、このアルバムに参加したことで有名になった人もいます。主なメンバーはハービー・ハンコック(keyb)、スティービー・ワンダー(Keyb)、トゥーツ・シールマンス(hca)、アーニー・ワッツ(ts)、スティーブ・ルカサー(g)、ポウリーニョ・ダ・コスタ(perc)、パティ・オースティン、ジェームス・イングラム(vo) 他です。

 

1.Ai No Corrida/愛のコリーダ

2.The Dude/ザ・デュード

3.Just Once/ジャスト・ワンス

4.Betcha' Wouldn't Hurt Me/心の傷跡

5.Somethin' Special/サムシン・スペシャル

6.Razzamatazz/ラザマタズ

7.One Hundred Ways/ワン・ハンドレッド・ウェイズ

8.Velas/ヴェラス

9.Turn on the Action/ターン・オン・ジ・アクション

 

1曲目「Ai No Corrida」はチャズ・ジャンケルの作で、1976年のフランス・日本合作映画」の日本語タイトルから採られています。音楽ではクインシーのカバー・ヴァージョンが大ヒットしました。2曲目はアルバム・タイトル曲「The Dude」です。作曲はクインシーとロッドテンパートン、そしてパティ・オースティンです。ヴォーカルがジェームス・イングラムです。ロッド・テンパートンはクインシーに高く評価され、このアルバムでも他に3曲を作曲しています。3曲目「Just Once」は心に染み入る名バラードです。ここでもヴォーカルはジェームス・イングラムです。彼は、この曲でソウルフルなバラード・シンガーとして有名になりました。その後ソロ・アルバムの発表しています。4曲目「Betcha' Wouldn't Hurt Me/心の傷跡」はスティービー・ワンダーの曲で、ヴォーカルはパティ・オースティン、シンセ・ソロはスティービー自身です。この曲もシングル・カットされました。パティ・オースティンも「クウェスト・レーベル」からクインシー・プロデュースでアルバムを出しています。続く「Somethin' Special」「Razzamatazz」もロッド・テンパートン作で、「Razzamatazz」はシングル・カットされました。ヴォーカルはパティ・オースティンです。7曲目「One Hundred Ways」は再びジュームス・イングラムがしっとり歌うバラード曲です。8曲目「Velas」はブラジルのシンガー・ソングライター、イヴァン・リンスが書いた曲です。トゥーツ・シールマンスのハーモニカと口笛がフューチャーされています。9曲目「Turn on the Action」は再びロッド・テンパートン作です。パティ・オースティン他がフューチャーされています。改めて凄いアルバムだなと思います。80年代のブラコン、フュージョンだけでなくポップス界を代表するアルバム、アメリカ国内だけで100万以上を売り上げ、プラチナディスクを獲得しました。第24回グラミー賞では3部門にノミネートされ、そのうちの一つ最優秀男性RBボーカルパフォーマンス賞を受賞しました。