PENNY ARCADE : JOE FARRELL
(1973年)
ジョー・ファレルの1973年、CTI4作目の作品です。2作目の「Outback)」がリターン・トゥ・フォーエーヴァー(RTF)に近い音楽性の作品であったのに対して、前作「Moon Germs」ではハービー・ハンコックやスタンリー・クラーク、ジャック・ディジョネットといったメンバーをバックにRTFとは路線の異なる作品になってきました。そして今回の第4作目「Penny Arcade」では、前作同様ハービー・ハンコックがピアノを弾いています。他にドラムがスティーブ・ガッド、ギターにジョー・ベック、ベースにハーブ・バッシュラー、コンガにドン・アライアスといったメンバーが参加しており、よりロック色の強いファンキーな作品となっています。ところで1973年と言うとこのアルバムに参加しているハービー・ハンコックが、彼のリーダー作「HEAD HUNTERS」を発表し大ブレイクした年でもあります。ジョー・ファレルのアルバムのほうが若干早く製作されているのでハービーの大ブレイク直前のアルバムでもあります。それともうひとつ注目は、スティーブ・ガッドとハービー・ハンコックの共演はそれほど多くないで貴重な作品でもあります。
01. Penny Arcade(ペニー・アーケイド)
02. Too High(トゥー・ハイ)
03. Hurricane Jane(ハリケーン・ジェーン)
04. Cloud Cream(クラウド・クリーム)
05. Geo Blue(ジオ・ブルー)
まず1曲目のアルバム・タイトル曲「Penny Arcade(ペニー・アーケイド)」はジョー・ベックの作品です。スティーブ・ガッドがテーマをユニゾンで叩いています。また音を歪ませたベックのギター、バリバリとブローするジョー・ファレルのサックス、ファンク度100%の熱演です。2曲目「Too High(トゥー・ハイ)」はスティーヴィー・ワンダーのカバーで13分を超える熱演です。原曲のスティーヴィーのクラビネットに代わって、ここではハービーがエレピを弾いています。ジョーのワウを効かせたギターと言い、この曲でもファンク度満点です。ジョー・ファレルはソプラノを吹いています。後半のハービーのエレピ・ソロもファンキーな演奏で好きですね。このあと3曲はジョー・ファレルのオリジナルが続きます。3曲目「Hurricane Jane(ハリケーン・ジェーン)」もロック色が強い曲で、ファレルはテナーを吹いています。スティーブ・ガッドのプレイが曲を盛り上げます。ガッド先生のファンには注目の曲です。4曲目「Cloud Cream(クラウド・クリーム)」ラテン調の曲です。そういえばギターのジョー・ベックもラテン調のアルバムを製作していましたね。ここではジョー・ファレルはフルートを吹いています。マルチ・リード奏者の本領発揮です。ラスト「Geo Blue(ジオ・ブルー)」は一番メインストリーム・ジャズっぽいメロディアスな曲です。ジョー・ベックも正統的なジャズ・ギターを弾いています。それにしても改めて聴き直してみますと、全員がエネルギーに満ち溢れた熱い演奏をしています。この時代のフュージョンって名作が多かったですね。
Joe Farrell - Hurricane Jane