ライブ :ダニー・ハサウェイ | かえるの音楽堂

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LIVE DONNY HATHAWAY

(1972年)

 ミュージシャンにとって幸せなライブって、こういった日の演奏を言うのだろうな。そう感じさせるライブの記録が、ダニー・ハサウェイの1971年録音のライブ・アルバムです。何と言っても客とミュージシャンの一体感といったものがすごく感じられるライブなんです。ニュー・ソウルの旗手のひとりに数えられるダニーの音楽は、幼い頃から教会でゴスペル・シンガーとして歌ってきたものが基礎となっており、それにジャズやクラシックの要素を取り入れて知的で内省的な音楽を作り出しました。このライブは全8曲中前半の4曲は19718月にロサンゼルスのトルバトールで、後半4曲は10月にニューヨークのビター・エンドで行われたものです。しかし同じ会場で行われたと思わせるくらい統一感があります。メンバーはマイク・ハワード(g)、ウィリー・ウィークス(b)、アール・ドゥルーアン(cong)、フレッド・ホワイト(ds)にロサンゼルスはフィル・アップチャーチが、ニューヨークではコーネル・デュプリーがゲスト・ギタリストで参加しています。注目はドラムのフレッド・ホワイトです。フレッドは何と言っても当時まだ16歳の若者です。とは言えその実力はすでに13歳の時からプロのミュージシャンとして活動しており十分な力を持っていました。またフレッドの14歳年上の兄はアース・ウィンド&ファイアーのリーダーでドラマーのモーリス・ホワイトであり、4歳上の兄はベースのヴァーダイン・ホワイトで、正にミュージシャンの家系に生まれ育ちました。またフレッド自身も197520歳の時から12年間アース・ウィンド&ファイアーのドラマーとして活躍し、メンバーとして日本にも来日しています。

 

1. What's Going On

2. The Ghetto

3. Hey, Girl

4. You've Got A Friend

5. Little Ghetto Boy

6. We're Still Friends

7. Jealous Guy

8. Voices Inside(Everything Is Everything)

 

 1曲目「What's Going On」は言わずと知れたマーヴィン・ゲイの名曲のカバーです。この演奏はもうダニーのオリジナルと言ってもいいほど素晴らしい出来となっています。この曲は多くのミュージシャンがカバーしていますが、その中でも最高の演奏と言えると思います。続く2曲目「The Ghetto」はダニーのオリジナルとなるラテン・タッチの曲です。ライブではオリジナルに比べ少しテンポをアップして演奏されています。後半観客もコーラスで参加し会場と一体になります。3曲目「Hey, Girl」はメンバーのアール・ドゥルーアン作のラブ・ソングです。4曲目「You've Got A Friend」はキャロル・キングのオリジナルで、ダニーはこの曲をロバータ・フラックとデュエットしてカヴァーしており、アルバム「ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ」に収録されており、19715月にシングル盤でリリースしています。演奏が始まった途端に観客の「キャー!」という歓声で最初から最高潮に達します。そんな中ダニーもリラックスした雰囲気で歌い始めます。そして観衆と一緒に合唱しながらクライマックスへ向かいます。まさに教会でゴスペルを歌っているような、ステージと観客席の一体感が素晴らしいです。聴いていて鳥肌が立ちました。凄いの一言、感動の一曲です。5曲目「Little Ghetto Boy」からニューヨークでのライブになり、ゲスト・ギタリストもコーネル・デュプリーに変わります。6曲目「We're Still Friends」はダニーとグレン・ワッツ共作のスローなブルース・ナンバーです。ダニーの歌声とコーネル・デュプリーのブルース・ギターが心に心に染み入ります。コーネルのギター、最高です。7曲目「Jealous Guy」はジョン・レノンの曲アルバム「イマジン」の収録曲です。8曲目「Voices Inside(Everything Is Everything)」はダニーのかけ声で始まり、リズム楽器の演奏が続きます。中盤ダニーのエレピ、マイク・ハワード、コーネル・デュプリー、ウィリー・ウィークスのソロが続きます。どの曲も素晴らしいパワーがみなぎっており、また人間的な温もりに溢れています。本当にベスト中のベスト・ライブと言えます。

 

画質は悪いけど、貴重な映像です。