イメージ:フィル・ウッズ&ミッシェル・ルグラン楽団 | かえるの音楽堂

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IMAGES:PHIL WOODS,MICHEL LEGRANT AND ORCHESTRA
(1975年)
 泣きのサックス、フィル・ウッズがミッシェル・ルグラン楽団と共演したアルバムです。このアルバムはこの年のグラミー賞で“最優秀インストゥルメンタル作曲賞”を受賞しました。フィル・ウッズは70年前半アメリカではジャズが衰退し、ロックが盛んになっており仕事が少なく苦労していました、そんな時にミッシェル・ルグランから声が掛かり、ルグランの作品に参加したことが契機になりRCAと契約が出来ました。そんな恩人から再び声が掛かり参加したアルバムが今回紹介の“IMAGES(イメージ)”です。このアルバムではミッシェル・ルグランの曲を中心にレオン・ラッセルやクラシックの曲まで、どこかで聴いたことのある曲をフィル・ウッズがルグラン楽団をバックに従えてサックスを吹いています。さすがルグランと言えるおしゃれなアレンジのオーケストラをバックにフィル・ウッズはいつもより抑えめに吹いています。ジャズ初心者にも聴きやすいイージー・リスニング・ジャズなんですが、フィル・ウッズのソロなんかを聴くと決して単にBGMのような音楽で終わらずジャズ・オーケストラ作品に仕上がっています。

1.THE WINDMILLS OF YOUR MIND (FROM THE UNITED ARTISTS FILM "THE THOMAS CROWN AFFAIR")(風のささやき)
2.SONG FOR YOU(ソング・フォー・ユー)
3.NICOLE(ニコール)
4.THE SUMMER KNOWS (FROM THE WARNER BROS. FILM "SUMMER OF '42")(おもいでの夏)
5.WE'VE ONLY JUST BEGUN(愛のプレリュード)
6.I WAS BORN IN LOVE WITH YOU (FROM THE A.I.P. FILM "WUTHERING HEIGHTS")(アイ・ワズ・ボーン・イン・ラブ・ウィズ・ユー)
7.CLAIR DE LUNE(月の光)
8.IMAGES(イメージ)

 1曲目「風のささやき」はミッシェル・ルグラン作の68年公開のスティーブ・マックイーン主演、ノーマン・ジュイソン監督による映画「華麗なる賭け」のテーマ曲です。ルグラン楽団をバックにフィル・ウッズがメロディアスにアルトを吹きます。当然と言えば当然なんですが作曲者自身のアレンジがオリジナルにも勝る出来です。2曲目「ソング・フォー・ユー」はレオン・ラッセル作のヒット曲のカバーです。この曲も多くの歌手がカバーしています。ルグラン楽団のブラスをバックにフィル・ウッズが歌い上げます。3曲目「ニコール」はフィル・ウッズのオリジナルです。ウッズの歌うようなロマンチックなサックスと美しいストリングスのハーモニーが素晴らしい曲です。4曲目「おもいでの夏」はミッシェル・ルグラン作の71年の映画「サマー・オブ‘42(思い出の夏)」の主題歌です。ジャズではアート・ファーマーのカバーでも知られています。ここではフィル・ウッズがしっとりと聴かせてくれます。5曲目「愛のプレリュード」はポール・ウィリアムズ作詞、ロジャー・ニコルス作曲で、カーペンターズの歌で大ヒットした作品です。ルグラン楽団をバックにフィル・ウッズがハッピーに歌います。6曲目「アイ・ワズ・ボーン・イン・ラブ・ウィズ・ユー」はエミリー・ブロンテの小説“嵐が丘”の映画化の折にミッシェル・ルグランが作曲、アラン&マリリン・バーグマンが作詞したものです。ジャズではサラ・ヴォーンが歌っていますが、フィル・ウッズのアルト・ヴァージョンもなかなかの出来です。7曲目「月の光」はフランスの印象派の作曲家クロード・ドビッシー作曲の作品です。ルグランの華麗なオーケストレーションをバックにフィルが綺麗なアルトを吹いています。8曲目「イメージ」はミッシェル・ルグラン作のアルバム・タイトル曲です。14分を超えるビックバンドの演奏は圧巻です。フィルのアルト、ルグランのピアノ、ビック・バンドが盛り上げていきます。ルグランのジャズ・アルバムとしても、またフィル・ウッズの参加した作品としても不朽の作品と言えます。