ライヴ・アット・モントルー:ベン・シドラン | かえるの音楽堂

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102-ライヴ・アット・モントルー _ベン・シドラン













LIVE AT MONTREUX : BEN SIDRAN
(1978年)
 シンガー、ソングライターでプロデューサー、ベン・シドランの78年7月のモントルー・フェスティバル出演時のライヴ盤です。バックはあの名盤“BULUE MONTREUX”のメンバー、マイケル・ブレッカー(ts)、ランディ・ブレッカー(tp)、マイク・マイニエリ(vib)、スティーヴ・カーン(g)、トニー・レヴィン(b)、スティ-ヴ・ジョーダン(ds)という豪華なメンバーが務めています。ベン・シドランは大学在学中にスティーヴ・ミラーと知り合い、ロックに関心を持ちました。またボズ・スキャッグスとも交友があります。そういった交友からベンはポップスやロック、あるいはフュージョンといった音楽を取り入れているものの、やはりベースとなるのはジャズで生粋のジャズ・ミュージシャンです。ジャズ・ミュージシャンとして弾き語りの名手と言われているベンは、また“ブルーノート”のコレクターとしても知られ、ライナーノートを書いているほどのジャズ・ファンであります。大学時代には哲学や音楽の博士号を取得し、ジャズの研究家、評論家としても知られています。そんなベンが実に軽妙でセンスよいピアノとヴォーカルを聴かせてくれるとともに、またバックのランディーやマイケルらが素晴らしいソロ・パフォーマンスを聴かせてくれるライヴ・アルバムです。

01. EAT IT(イート・イット)
02. SONG FOR A SUCKER LIKE YOU(世間知らずの歌)
03. I REMEMBER CLIFORD(アイ・リメンバー・クリフォード)
04. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME(いつか王子様が)
05. MIDNIGHT TANGO/WALKING WITH BLUES(ミッドナイト・タンゴ~ウォーキング・ウィズ・ザ・ブルース)
06. COME TOGETHER(カム・トゥゲザー)

 1曲目「EAT IT(イート・イット)」はベンのオリジナル新曲でトニー・ウィリアムスに捧げた曲です。キレのよいベンのピアノと洒落たヴォーカルが聴ける、軽妙で躍動感のある曲で幕開けです。ベンに鼓舞されてマイク・マイニエリやバックのメンバーも飛ばします。2曲目「SONG FOR A SUCKER LIKE YOU(世間知らずの歌)」もベンのオリジナルのラテン・タッチの曲でベンのアリスタ・レーベル第2弾“ドクターズ・イズ・イン”収録曲です。3曲目「I REMEMBER CLIFORD(アイ・リメンバー・クリフォード)」はベニー・ゴルソン作の定番のジャズ・バラードで、ランディー・ブレッカーとのデュオで演奏されます。ベンのピアノをバックにランディの豪快で、時に哀愁あふれるトランペットが涙ものです。ランに続くベンのジャジーなピアノ・ソロと言い、この1曲で完全にノックアウトされてしまうくらい最高の演奏だと思います。続く4曲目「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME(いつか王子様が)」はディズニー・ナンバーのスタンダード曲です。ここではマイケル・ブレッカーの豪快なテナー・サックスがフィーチャーされます。マイケルのベスト・パフォーマンスとして記録される素晴らしい演奏です。5曲目「MIDNIGHT TANGO/WALKING WITH BLUES(ミッドナイト・タンゴ~ウォーキング・ウィズ・ザ・ブルース)」はベンのオリジナルでブルーサム・レーベル時代の曲をメドレーにしたものです。最初のミッドナイト・タンゴはスティーヴ・ミラーに提供した曲のセルフ・カバーです。演奏もさることながらベンのアレンジも素晴らしい曲です。ラスト6曲目「COME TOGETHER(カム・トゥゲザー)」はレノン&マッカートニー作のビートルズのカバーです。マイク・マイニエリのヘッド・アレンジのもと、バンドのメンバーが一丸となって演奏します。ここではエモーショナルなマイケル・ブレッカーのソロが聴き所となっています。ジャズ・フュージョン寄りのアルバムですが要所にベンのジャズへの愛情が感じさせる作品です。