マグネティック:ステップス・アヘッド | かえるの音楽堂

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062-マグネティック













MAGNETIC : STEPS AHEAD
(1986年)
 1970年代後半にマイク・マイニエリの呼び掛けで、マイケル・ブレッカーらフュージョン・シーンで活躍していたミュージシャンが集まり“STEPS”と言う名のユニットが結成されました。“STEPS”はアコースティックな4ビート・ジャズを演奏しました。1980年には日本に来日し、ライブ・アルバム“スモーキン・イン・ザ・ピット”を発売し話題となりました。“STEPS”はメンバーチェンジを重ねながら活躍し1983年にはマイク・マイニエリとマイケル・ブレッカーが双頭リーダーのユニットに形を変え、またサウンドもエレクトリックな要素を加えフュージョン・サウンドを展開していきました。今回紹介する1986年発売の「MAGNETIC(マグネティック)」ではマイケル・ブレッカーが初めてウィンド・シンセ“EWI”を使い始めたことでも話題になりました。参加メンバーはマイケル・ブレッカー(sax)、マイク・マイニエリ(vib,key)、ピーター・アースキン(ds)、ハイラム・ブロック、チャック・ローブ(g)、ヴィクター・ベイリー(b)、ウォーレン・バーンハート(p,synth)、ロビー・ギルゴア(keyb)、ケニー・カークランド(synth)、ダイアン・リーヴス(vo)他です。

1.Trains (トレインズ)
2.Beirut (ベイルート)
3.Cajun (ケイジャン)
4.In a Sentimental Mood (イン・ア・センチメンタル・ムード)
5.Magnetic Love (マグネティック・ラヴ)
6.Sumo (スモウ)
7.All the Tea in China (オール・ザ・ティー・イン・チャイナ)
8.Something I Said (サムシング・アイ・セッド)
9.Magnetic Love(Reprise)(マグネティック・ラヴ(リプライズ))

 1曲目「Trains (トレインズ)」はマイク・マイニエリ作の印象的なメロディの曲です。テーマのメロディはマイク・マイニエリのシンセ・ヴァイヴとマイケルのEWIのアンサンブルによるものです。またマイケルのテナー・ソロはエフェクター(ハーモナイザーか?)で音色を加工していますが素晴らしい演奏です。またハイラム・ブロックのパワー・溢れるソロも全開です。2曲目「Beirut (ベイルート)」ちょっと浮遊感のあるミステリアスな曲です。ビクター・ベイリーのベース・ラインとピーター・アースキンのタイトなドラムをバックにマイケルはEWIオンリー、マイク・マイニエリもシンセ・ヴァイヴのみを演奏します。エレクトリック・テイストたっぷりの曲です。3曲目「Cajun (ケイジャン)」はマイケル・ブレッカーの作です。マイケルの超高速EWIが疾走します。またここではカントリー・シーンで活躍しているベテラン・プレーヤーのピーター・シュウィマーのバンジョーがフューチャーされています。さらにマイケル・ブレッカーのテナー・ソロ、マイニエリのヴァイヴも素晴らしいです。4曲目はデューク・エリントン作の曲の「In a Sentimental Mood (イン・ア・センチメンタル・ムード)」です。マイケル・ブレッカーとマイク・マイニエリのデュオで演奏されるます。5曲目「Magnetic Love (マグネティック・ラヴ)」はポップなヴォーカル・チューンで、この曲のみジョージ・デュークがプロデュースを手がけています。ドラムは打ち込みによるもので、ソロ・デビュー前のダイアン・リーヴスのパワフルなヴォーカルがフューチャーされています。マイケルのテナーもファンキーです。6曲目「Sumo (スモウ)」は“相撲”のことか?この曲も打ち込みを使ったトリッキーで複雑なコード進行の曲です。ここでもサックスは多重録音によるものです。7曲目「All the Tea in China (オール・ザ・ティー・イン・チャイナ)」はピーター・アースキン作の曲でありながら打ち込みによるリズムの曲です。ちょっと不思議なメロディの曲でヴィクター・ベイリーのうねるようねベースとマイケルのEWIの絡みが面白いです。8曲目「Something I Said (サムシング・アイ・セッド)」はマイケルのテナーをフューチャーした綺麗なバラードです。EWIのソロを聴いてくると逆にこのテナー・ソロが新鮮に聞こえます。マイク・マイニエリのヴァイヴ・ソロも美しい旋律を奏でます。9曲目「Magnetic Love(Reprise)(マグネティック・ラヴ(リプライズ))」ではマイケルのテナーがフューチャーされます。この作品は“STEPS”のようなアコースティックなサウンドとは逆にエレクトリックを多用していますが、メンバー達のソロを効果的に使い所々に名人芸を聴かせてくれています。彼らのような一流のミュージシャンにしか出来ないような複雑で高度な演奏がちりばみられています。マイケル亡き今ではこのバンドの再結成もかないませんが、彼らの残した記録はずっと聴かれて行くと思います。