「さぁ、始めようって電源入れたんだけど、ウンともスンとも…」


僕は、PCが壊れたと聞いて、取り急ぎビジネスパートナーのWebデザイナーの家に飛んできていた。


「とりあえずPCなきゃ仕事にならないでしょ~」

と、僕は自分のノートPCを取り出して彼に渡した。


「済まんな。あとはHP作成ソフトは体験版をダウンロードしてなんとかするか…」


ため息をついた僕の口から、思わずこぼれた。

「しかし、PC一台買うことすらできない社会起業ってどうよ…」


「まぁな…。もう10年選手だったから金属疲労もするよ。」


「何もこの大事な時に、しかも善意で仕事を出してくれたのに…」


静かに流れる空間で、気持ちを切り替えようとした。

「…亀山社中の龍馬も、資金繰りに奔走していたっけな~」


「こんなんで、精神障がい者の雇用支援なんて大それたことができるのかい?」


「一度始めるって言ったんだ。しかもまだ始まってもいない。始まってもいないのに、できるかできないかなんて分かるわけないさ。…やらなきゃならんのよ」


「分かってはいるけどね。おれ、来週からバイトが昼と夜にも入るんで、超忙しくなるから全てのコンテンツページを仕上げるのは無理かもな…。何しろ生きなきゃいけないんで。」


「分かった。それは先方に相談してみるよ。最終的に全部はできません、なんて言えないからな。」


もう終電が近かったので、用件を済ませて彼の部屋を後にした。


なんだか頭の芯がクタクタだった。


ふとあの頃の彼らとの思い出が、目の前に鮮やかに蘇った。