まだ幼い女の子が学校の宿題をしていた。
ふと父親のところにやって来て、こう尋ねた。
「...怒りと激怒ってどう違うの?」
父親が答えた。
「それはまあ… 程度の問題かな。
よし、やって見せよう。」
そういうと、電話のところに行き、いいかげんな番号をダイヤルした。
電話に出た男にこう聞いた。
「もしもし、メルヴィンいるかな?」男が答えた。
「ここにはメルヴィンなんていないよ。かける前に番号を調べないのか?」
「分かるかい!?」 父親が娘に言った。
「今の男の人はたぶん何かしていてうんと忙しいのに、
パパが邪魔したんだ。
さて、見ていてごらん!」
父親はまた同じ番号にかけた。
「もしもし、メルヴィンいるかな?」
「おい、よく聞けよ!」腹立たしげな声が答えた。
「おまえがたった今この番号にかけてきたときに、
ここにはメルヴィンなんていないと言ったろう!
よくもまたかけてこられたもんだ!」受話器がガシャンと切れた
父親は娘に向かって言った。
「いいかい、あれが怒りだ。こんどは激怒がどういうものか見せよう。」
そうして、また同じ番号にかけた。
荒々しい声が「もしもし」と、吠え立てるように答えた。
「もしもし」父親は静かに言った。
「もしもし、メルヴィンだけれど、僕に電話があったかな??」