あの時の朝練は
まるで別空間へと入り込んでしまったような感覚だった。
これから待ち受けるパラレルワールドの1年への入口だったから。
高2の秋までは面白いことが好きで
お笑い担当という感じの明るい少年だった。
しかし、好きだった子との別れ
恋は麻薬
麻薬が途切れた後の後遺症に苦しんだ
情緒不安定
あの子は死んだみたいなものだ。
現実は変わらないことを悟った時
心が閉鎖されたような感覚だった。
高2の冬。
受験勉強が本格化し始める時期だ。
俺は覚悟を決めた。
何もかも欲が無くなってしまったのを逆手に取り
勉強に集中しよう。
ちょうどその時期に
音楽の教科書の中から好きな歌を好きな人とで
歌って発表しましょうという企画がなされた。
今までの俺だったら
愉快な奴を誘って、面白おかしく発表していただろう。
しかし、それはやめた。
友人を誘って、2人でジョン・レノンを
ただ真面目に歌った。
その時、音楽室で2人で朝練してたな。
その時の何だか真っ白な風景を憶えている。
これから只ひたすら勉強に捧げていくことに決めた
転機の瞬間だった。