助成金実務パターン列伝
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雇用関係助成金も受給に至るいくつかの「パターン」を覚えれば、怖いものではなくなります。ムツカシイ実務、おびただしい書類もそのパターンに乗っけて処理していけばいいからです。基本パターンは単純なものです。
計画→実行→申請
労務関連でやること(休業、訓練、育休など)を1か月前などを期限に計画を出し、その後それらを実行して6か月ぐらいたったら申請、というものです。計画の前にやるのは要件チェックと流れの把握で、最近はどんな助成金でもわかりやすく図解して乗っけてあります。
ただ何十種類もある助成金のこと、この単純なパターンもいくつかに分類できます。どれも各助成金のマニュアルにわかりやすく図解されているのですが、そこはあえて65歳超を除いて「文字で」5大助成金について記します。ポイントは「計画」段階があるかないか?計画、申請その他の期間はどうか?ということです。
「人材開発支援助成金」(人開金)パターン
要件 : 訓練をだいたい1年度に10時間以上やるか?「難しい」カリキュラムがあるか?
計画 : 原則実行の1月前までに計画を出す。「計画の計画」もある。カリキュラムの添付が多い。
場合によっては講師や学校の資格証明もある。
実行 : 訓練を計画通りに始める。日付その他の変更があったら、その日以前に変更届。
申請 : 終わってから2か月以内に申請を出す。カリキュラムの実行を示す「訓練日誌」の添付が多い。
「キャリアアップ助成金」パターン
要件 : 非正規社員の他、正社員がいて、待遇に差があるか?正規非正規両方いないとしようがない。
計画 : とにかく「キャリアアップ計画」を出しておく。就業規則の変更等はその後でもいい。
提出さえすれば、その翌日から実行可能。助成金の名前に〇があることが重要。どのコースでも
同じフォーム。
実行 : 正社員化や賞与を与える、賃金アップなど要件になることを始める。それをやってから原則6か月
その状態を続ける。
申請 : 6か月たってから2か月以内に申請を出す。待遇のキャリアアップは主として賃金で測られるの
で、就業規則の条文や雇用契約書と賃金台帳等の整合性が重要。
「働き方改革推進支援助成金」パターン
要件 : 時短や休日増加などのために「何か解決策」があるか?その解決策のために助成金を出す。
計画 : まずは「交付申請」を実行の1か月前までに出す。賃金アップや残業削減のために何を買うか、
何の措置を行うか、それまでに検討して書類に見積もり(2か所以上)その他をまとめる。
実行 : 施策を実行して、それを計画に書いた期間3~6か月ほど続ける。モノを買ったり、
施策の実行をする。
申請 : その期間がたってから1か月以内に申請を出す。物を買った施策をした領収書や仕様書なども
必要になることがある。
「両立支援等助成金」パターン
要件 : 助成金対象者に対象者が居るか?育休は育てる子、介護休業は介護される人あっての申請。
計画 : 原則育休や介休に入る以前に、就業規則の改定や「プラン」を作る対象者との
コミュニケーションをする。その就業規則の周知を行っておく。計画届の受理ということは
ない。男性育休はプランなし。就業規則のみ。
実行 : 対象者が実際に育休や介休に入る。その間も「プラン」穴埋め(対象者の希望を聞くなど)や
コミュニケーションの必要がある。
申請 : 育休や介休、職場復帰数か月が終わってから2か月以内に出す。休んでいたことを示す「出勤簿」
プランの日付けの順序が重要。施策の後に意見を聞く、なんてことにならないようにする。
ただ「65歳超雇用推進支援助成金」では、コースごとに違いますね。
「65歳超雇用推進支援助成金」
〇65歳超継続雇用促進コース…これは本来の「継続雇用定着促進助成金」(昔の名前)パターン
要件 : 就業規則が現在合法で、合法を下回ってないかどうか?上回っていても問題。
計画 : まず定年延長か雇用継続かか決めて、現在の就業規則を当局に持って行って、
相談するのが最初。
制度改正を社労士に依頼し、費用を払い、雇用管理措置を実施します。ここまで計画の準備。
実行 : やる措置に従って就業規則を改定。実施日以降、実際に延長した人がなくても
制度の実施になる。
申請 : 定年延長、雇用継続措置の実施日から2か月以内に支給申請。
〇高年齢者評価制度等雇用管理改善コース…これは人確金パターン。
要件 : 「高齢者ならでは」の制度を入れる気があるかどうか?若者など一律ではちょっと困る。
計画 : 雇用管理制度の実施の3か月前までに計画認定が必要です。どの制度を実施するか決める。
実行 : 管理制度を作り、計画で書いた1年間までの間制度を実行。実施期間の後6か月の
確認期間を経ます。
申請 : その期間が過ぎて2か月以内に支給申請。
〇高年齢者無期雇用転換コース…これはキャリアアップ助成金パターン。
要件 : 50歳以上の非正規のヒトで正社員に上がるようなヒトがいるかどうか?
計画 : キャリアアップ計画のような3年間有効の計画認定が必要です。実施の3か月前までに
認定を受ける。
実行 : やるべき措置に従って就業規則を改定し、無期雇用転換の制度を実行します。1年で10人まで。
申請 : 6か月賃金を払ってから2か月以内に申請。
ただトッカイキン(特開金)などは統一されています。その他障害者や生活保護者、就職氷河期の方など対象が違うだけです。
特開金(特定就職困難者雇用開発助成金)パターン
要件 : いろいろな就職困難者(障害者、60歳以上高齢者、母子父子家庭等)を雇用するかどうか?
計画 : ハローワークや民間の職業紹介会社を通して就職困難者を雇用すること。そうすると第1期支給申請書が
自動的に送られてきます。求人の申し込み以外は計画はありません。
実行 : それらの方々を雇用し続ける。
申請 : 6か月雇用してから2か月以内に支給申請を出す。賃金台帳や出勤簿を中心に添付書類もある。
「トライアル雇用助成金」パターン:特開金パターンと似ています。
要件 : 就職困難者ほどでないにしても、キャリアの空いた未経験者を雇用するかどうか?
計画 : ハローワークや民間の職業紹介会社を通して労働者を面接すること。そうすると「面接がどうだったか書面」が
自動的に送られてきます。で、合否を送って、最終的に雇用します。その後訓練など含めた計画書を出します。
実行 : それらの方々を雇用し続ける。
申請 : 3か月雇用してから2か月以内に支給申請を出す。賃金台帳や出勤簿を中心に添付書類もある。
「人材確保等支援助成金」(人確金)パターン
要件 : いろいろな設備投資、制度設定などした結果、離職率や賃金アップなど労働者に対する「目標」を達成するかどうか?
計画 : まずどういう制度、設備投資などするかどうか決めて、その概要の計画を実施1か月前までに出す。
実行 : 制度を届け実施する。モノを買って設置する。それを適用し使ってみる。計画で出した「整備期間」内に。
申請 : 整備期間が終わって2か月以内に支給申請を出す。賃金台帳や出勤簿を中心に添付書類もある。
同じ〇〇助成金でも、コースごとに構造が違うのはもともと全然違う助成金だからという場合が多いのです。キャリアアップや両立支援など、もともと違う助成金だったものを強引に同じパターンにまとめ上げたものもあれば、65歳超のように名前だけまとめて、実務はそのまままとめないで個々にやるというモノもあります。重要なのは書類を出す時期と添付書類。助成金実務は同パターンのものを最低2社はやって、感覚をつかむことが大事です。