キリスト教列伝 | 新労社 おりおりの記

キリスト教列伝

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世界を代表する宗教の1つ、キリスト教に殉教者や列福者以外、教え自体に列伝なんかあるのか!と思いますが、なにしろ2000年の歴史のある宗教のこと、さまざまな宗派、考えが派生しています。主にろうそくの火を分かつように、国ごとに教会が宗派を名乗って、例えば日本なら信長の亡骸の解釈など、キリストの教えの他に独自の講釈を垂れるというものです。

 

教えの基本は、キリストの十字架刑による死に終わる発言と、その復活の証人とされるキリストの弟子、使徒達の言った言葉と、使徒達から始まった教会のあり方、人々との関係の仕方ですが、どこの宗派も「キリストの教えを正しく受け継いでいる」といっています。そんな分派を思いつくまま並べてみました。

 

♰ 原始キリスト教

キリスト刑死の後、弟子たちがその強烈な印象(言行や復活や昇天)を語り始めたのがキリスト教の始まりです。その後30年ほどで福音書(キリストの言行録:新約聖書)がまとまるまでの期間にあった教えを原始キリスト教といいます。ユダヤ教の一分派だったのを、教義や宗派をまとめ一宗教になるまでは100年ほどかかったようです。

 

♰ 初期キリスト教

3世紀ぐらいまでのキリスト教。キリストばかりでなく、ステファーノやパウロといったキリストの弟子の布教と殉教も取り扱い、ローマ帝国によるキリスト教迫害までです。倫理や宗教的指導者の拠り所、教会が作られ、その元締めとしてローマ教皇が生まれました。4世紀以降は迫害も薄れ、ローマ国教化したキリスト教は安定してヨーロッパに根付きました。安定したのはイイのですが、その安定から、いろいろな宗派がバラバラ出てきたのです。


♰ カトリック教会

ローマ教皇を中心として今日まで続くよりストイックな宗派。別にカトリックとして独立するぞ!と気張ったものではなく、さまざまな分派が出た結果、多数派としてカトリックという形態が残った、という感じです。しかし中世にはその硬直化した教えが宗教改革を招き、プロテスタントが生まれました。カトリックとプロテスタントは西方教会といい、それ以外を東方教会と総称します。

 

♰ プロテスタント

16世紀、教皇が発行する「免罪符」なんてナンセンス!というルターの反抗から生まれ「福音主義」(神さまのホントの言葉を聞こうよ)を主張します。教皇もいないし、教会もなくて自由です。ただカトリックと違って「自由に」様々な分派が生まれ、ルター派、カルヴィン派、フッター派、英国国教会・・・と世界各国に散らばりました。ただやっぱり10億人以上の多数派はカトリックなのです。

 

♰ ネストリウス派

キリスト教最初の分派。キリストは神であって人ではないという立場を取っています。それゆえに「神ではあるが、人(神の子)でもある!」というヨーロッパから追われ、唐で「景教」となり全盛期を迎え、古くは聖徳太子、また浄土真宗など仏教にも影響を与えました。

 

♰ ギリシャ正教会

ローマ帝国以来、アテネ大主教を首座として東方教会を名乗る教派。神による啓示に基づく信仰と教えを聖伝と呼び、聖伝を伝えていくにあたっては、聖霊の導きがあるとする。キリスト教は復活の福音だとしています。 正教会における聖伝の他に、聖書は聖伝の中核であり、使徒らが残した最も公的な啓示と捉える教えです。父(神)と子(キリスト)の他に聖霊が居るよという三位一体説です。

 

♰ 日本ハリストス正教会

明治になって禁教が解けた後でできた教団。ギリシャ正教を発端とする東方教会の日本版。正教会は一カ国に一つの教会組織を置くことが原則ですが教義は同じで、ギリシャでもロシアでも日本でも変わらないのです。
 

♰ ロシア正教会

10世紀中ごろ以降、キエフ大公国の王が西に行ってキリスト教の洗礼を受け「これは素晴らしい教えだ!」とローマ帝国から導入したのが始まり。ギリシャ正教の教えと変わりませんが、教派ではないのです。ソ連邦では弾圧されましたが、ソ連崩壊後は復活しました。

 

♰ 英国国教会、聖公会

プロテスタントのカルヴィン派から出て、プロテスタントの唯一の正しい教会のような地位の教会。ただプロテスタントとカトリックの中間を標榜しています。教皇のような絶対者はいないが、プロテスタントにない組織的な教会の上位者の言うことは聴く、といった感じです。

 

♰ メソジスト派

18世紀、英国国教会のジョン・ウェスレーから出た一派。規則正しい生活など自律性を重んじ神様に近づくことを目標にしました。教義から国家に受けがよく、日本では青山学院や関西学院のもとになりました。ただ戦時中は天皇を否定するような主張から弾圧され殉教事件を起こしました。アメリカでは2番目に多い宗派です。

 

♰ イエスの御霊教会

日本独特の(キリスト教的な)新興宗教。イエス・キリストは一般的な、三位一体(父・子・聖霊)の子ではなく、イエス・キリストが全能の神の本質であり、キリストの中にこそ三つとも兼ねていると説きます。地域の教会で教えは共通するものの独立して運営し、過激な他宗批判はしないようです。

 

♰ モルモン教

1830年にアメリカで創設されたキリスト教系の新興宗教。日曜日に礼拝が行われたりする点は同じですが、独自解釈での戒律があります。独特の下着、文明の利器(電車・自転車)で勧誘、一夫多妻や避妊禁止、一度結婚すると戒律により離婚できないなど、独特な教えがあります。聖書の他にモルモン書という独特の経典があります。

 

エホバの証人

これも19世紀後半に創立した派生新興宗教。輸血拒否、兵役拒否の他、独自のルールが多く、それが一般社会との摩擦を引き起こすことが多いのです。ロシア正教会を批判したために活動を禁止され「宗教弾圧」ということでロシアが非難されたこともあります。

 

バヌアツ「カーゴ・カルト」

南の島のいわゆる貨物船教。第2次大戦中アメリカ軍が持ち込んで、運送の手間から放棄した物資で島が豊かになった、そこで豊かさをもたらす貨物船自体を祈るという宗教が生まれました。その教祖は「ジョン・フラム」。謎めかしていて1930年代後半に現れた程度の記録です。モノが絡むと宣教師がもたらした一神教のキリスト教と、もともとあった自然崇拝のアニミズムとが合併したような教義になるのです。

 

・ブランチダビディアン

19世紀アメリカで発生した、プロテスタントから分派した、キリストの再臨を待ち望む協会のそのまた過激な分派。1990年に就任した新教祖が過激なカリスマで「最終戦争」が起こるとして武器を集めたために、1993年にアメリカの当局と「戦争」の末、教祖共々自爆し、80人の死者を出して終わりました。オウムは仏教系でしたが、こちらはキリスト教系です。

 

・世界平和統一家庭連合

新興というより独自宗教になった例。キリスト教の伝説を自分たちの周囲の環境に都合よく(反日など)独自の教義にしました。活動の目的は独自の経済思想「集金マシーン化」でした。ヒトの公私にわたって地球の裏側にまで身ぐるみはがすから評判が悪いのです。しかも左翼右翼関係なく国家政治に取り入り、オオガネを貢いで大きくなりました。宗教が財閥になったのはイスラムでもヒンディーでも仏教でもあまりないのではないでしょうか。

 

イスラム教でも仏教でも、これ以上の分派があるでしょう。なぜこれほど広がったかというのは、教祖が偉大だったからでも、おカネがたくさんあったからでもなく、多くの人が献身的に教えに納得し、広めたからですね。しかしヒトというのはそれぞれで、いろいろな解釈をしてヒトを救うコトのみならず、かえって害してしまうような「教祖」もできることがあるのです。だから宗教によっては「分派を作るな」という教義を定めているところもあります。

 

こうして宗教の分派を見ると、重要なのは何かスゴイ神さまがヒトの上にあって分け与えるのではなく、古来から「神さまは人間が作るもの(創るではない)である」という事実が分かります。その作る人間に過激派も詐欺師もいるのが問題を起こすのです。オウムなんかは仏教系の過激派です。

 

宗教をやるにしても、信ずるにしても、ありがたい主張もするが短所も汚いところもあるヒト(死んだ人は除く。死んだら周りの人が祭り上げた神さま)についていくから間違うので、自分自身が神さまやありがたい教えを信ずるのであれば、納得できるものになるでしょう。