強いぞ!イスラエル戦車隊!! | 新労社 おりおりの記

強いぞ!イスラエル戦車隊!!

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私の一番好きな現代戦車はイスラエルのメルカバ戦車です。人命重視を前面に打ち出した戦車だからです。エンジンを被弾しやすい前面に持ってきて、装甲の代わりとして、いざ被弾したら後ろから戦車を盾にして逃げられるという構造です。何も人権重視というだけではありません。ヒトがいなくなれば、それだけ国の存亡が危うくなるという切実な理由の人命尊重です。

 

そんな構造の戦車を作った国はイスラエル以外ありません。ただ第2次大戦のドイツ戦車も、実は逃げ口が乗員の数以上に付いていたのです。人命を重視して殺し合い前提の戦争ができるか?という疑問も出るのですが、このイスラエル軍、メルカバ戦車を配備する以前からアラブの強国、シリアやエジプト等を相手に、狭小な国土を守っていい戦いをしているのです。

 

第1次中東戦争

 

第2次大戦後、パレスチナの地で、これまで仲良く暮らしていたユダヤ人、アラブ人がついに戦い始めました。この過程でユダヤの民兵組織がイギリスから盗み出した第2次大戦製のアメリカ製のシャーマン戦車、イギリス製のクロムウェル戦車6両が、イスラエル戦車隊の始まりです。

 

国連からユダヤ人側は武装を禁じられていましたが、2,400年ぶりにユダヤ人の国の復活を目指すユダヤ人民兵組織はイスラエル国防軍として統一されました。第2次大戦の置き土産、シャーマン戦車を大量に増備し、アラブ人との小競り合いで実戦能力を磨き、国連の仲裁による休戦ごとにその戦力を増やしていきました。

 

結局現在のパレスチナ、ガザ地区・ヨルダン川西岸地域を除いた地域は、ユダヤ人国家イスラエルとして独立しました。シナイ半島進出はイギリスに止められましたが、寄せ集めだったイスラエル戦車隊は、借り物兵器を強化して独自のものに仕立て、組織立っていきました。

 

第2次中東戦争

 

エジプトで革命が起こり、ナセル政権はスエズ運河を占領しにかかりました。英仏、イスラエルの利害が一致し、イスラエルはシナイ半島に攻め込みました。そこを越えればもうエジプトという、ミトラ峠で、アメリカ製戦車のイスラエル戦車隊とコマンド部隊は、大群のソ連製戦車で固めたエジプト戦車隊を撃破し、エジプトを降伏寸前に追い込みました。装甲・備砲ともソ連製戦車が勝っていたにも関わらずです。もっともイスラエルはアメリカ製戦車の非力な備砲を取り換え、ソ連製の装甲の厚い戦車を次々撃破しました。

 

結局は米ソの介入で英仏は中東で力を失い、イスラエル軍も引き上げるのですが、この戦争ではイスラエル軍の「やる気」が目立ちました。人口当時数百万のイスラエルと、4000万のエジプト、イスラエルは負ければ国ごと吹き飛ぶような情勢で、必死に戦ったのです。戦車の性能さというよりは、中にいる人間のモチベの違いだったのです。

 

第3次中東戦争

 

今度はエジプトにヨルダン、シリアも加えたアラブ連合がイスラエルと戦いました。たった6日間でしたが、3か国を追い出し、イスラエルが勝利しました。隘路に追い詰めて、渋滞・混雑する戦車群を、コマンドが追いすがって炎上させる、その恐怖でまだ炎上していないアラブ側戦車の乗員も逃げ出す、という感じで、多くのソ連製戦車を捕獲しました。

 

イスラエルは第2次のころと同じで予算がなく、アメリカの中古戦車をアメリカでさえなし得なかった強力化を行い、間に合わせの兵器の向上と、狙ったら必ず当てる、戦車乗員の資質の向上だけでソ連製戦車を圧倒したのです。

 

第4次中東戦争

 

エジプトを主としたアラブ軍は、ミサイルなどの最新兵器を得て戦勝の確信を得、イスラエルに攻め込みました。これで近代化していたイスラエル戦車隊は、数百両をミサイルによって失いました。

 

アラブ連合も、またイスラエルの戦車もソ連製、アメリカ製が新式化し、究極にまで性能の向上した戦車同士だと、ここでも兵員の資質が大きくモノをいうのです。エジプトの戦車は何十台も炎上したのに、イスラエル戦車は数台の損傷、という戦いが随所にありました。ミサイルがなければ、イスラエル戦車は強いのです。

 

対エジプトのシナイ半島は南方戦線ですが、北部のゴラン高原はシリアに対する戦闘でした。ここで別働の戦車隊はミサイルを使わない、戦後最大の戦車戦を戦いました。国境線が短く、起伏が大きいので、戦車砲の素早く動ける機動力が大きな力を生みました。シリアのソ連製戦車は重装甲、大口径砲でしたが射程が短く、イスラエルの長射程、俯角の大きい戦車砲に屈しました。

 

 

イスラエルは相手に、自軍の5倍もの損害を与えましたが、自らも戦車の半分を失い、アメリカに助けてもらったくらいです。この後、アメリカ・イギリス製戦車で戦ってきたイスラエル軍に、独自のメルカバ戦車ができました。この後小競り合いはあるものの、中東の和平に向けた話し合いが、本格的に行われることになったのです。

 

イスラエルは自国民を大切にします、というのは、数百万人の国民では、1回負けるともう亡国の憂き目を見る国家規模によります。ユダヤ人の勤勉さ、能力の高さで、近代戦に実践的に対応できる軍事技術を培う一環としてのものなのです。イスラエルの検疫は、それはそれは厳しいもののようですね。乱射事件があったせいもあるでしょうけれども。

 

むろん、エジプト、シリア、レバノンやヨルダンだって、自国民を大切にしないわけがありません。ただイスラエルは狭い国土に少数の人間に対する教育水準の高さがあります。男女問わずの徴兵でしかしユダヤ教徒以外は兵役義務がなく、ユダヤ従軍牧師もいるような拠り所を配しているところが、アラブの民族主義を上回る、最強の秘訣かも知れません。