ドイツの敗戦が半年遅れた理由 | 新労社 おりおりの記

ドイツの敗戦が半年遅れた理由

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マーケット・ガーデン作戦

 

大戦末期、連合軍はローラーのように、一方的にドイツ軍を押しつぶしたように見えますが、上手くない戦法で押し返され、多数の捕虜まで出してしまったこともあったのです。

 

ノルマンディー上陸から3カ月。圧倒的な戦力のアメリカ・イギリス連合軍に、ドイツ軍は陸海空で敗れ続け、連合軍は押せ押せムードでした。フランス北部を席巻し、パリを開放、さらにその力でベルギー、オランダを攻略し、ドイツ国境に迫っていました。

 

アメリカのアイゼンハワー、イギリスのモントゴメリーは「戦争は1944年クリスマスまでに終わるだろう」と楽観し、ドイツ軍を侮って、一気にコトを決しようとしていました。その戦法は・・・

 

・ドイツ軍のオランダ占領地には、大した兵力はない。そこはドイツ国境まで一本道。

・その一本道には、戦車もなく、老兵、少年兵など弱体なドイツ軍しかいない。

・一本道を攻略して進撃するが、その間橋や都市で抵抗されるかもしれない。(マーケット作戦)

・だから拠点の橋や都市を落下傘部隊で占領し、スピードを上げよう。(ガーデン作戦)

・これで一気にドイツ国境を押し破り、ルール工業地帯を押さえれば戦争終わり!

 

しかし現実は以下のようでした。

 

・ドイツ軍のオランダ占領地には、大兵力がいてしかも精鋭部隊。指揮官も有能。

・その一本道には、SS(ヒトラー親衛隊)のエリート軍隊が健在。タイガー戦車など、装備も優秀。

・一本道の進撃は橋を落とされ、再建に時間がかかり、マーケット作戦はスピードは遅かった。

・拠点の橋や都市を落下傘部隊で占領したが、一気に送り込めず、補給が続かず、ガーデン作戦は失敗・降伏。

・連合軍は要地は途中まで占領したものの防御に転じ、ドイツ軍は撃退に成功!

 

 

戦争の終了にはその後、8カ月かかりました。連合軍は一気にやり過ぎたのです。この作戦の失敗で死傷者と捕虜を17,000名以上出し、以後の作戦は慎重になりました。その原因は・・・

 

・連合軍はスピード進撃で、燃料の確保に遅延が生じ、補給点すら確保できてなかった。

・英モントゴメリーと米アイゼンハワーの確執。アイゼンハワーの政治的な譲歩で無理な作戦。

・連合軍の勝利によるおごり。偵察の不十分。空挺団を“使ってみよう”という功名心だけの投入。

 

思ったよりドイツの実力は残っていたし、連合軍も油断しすぎたということでしょう。これほどではないにしても、これ以後も連合軍はヨーロッパの地形や気候にも悩まされつつ、しかし圧倒的な兵力と着実な補給の立て直しで、ドイツに侵攻していくのです。