人材確保等支援助成金 設備改善等支援コースのキモ | 新労社 おりおりの記

人材確保等支援助成金 設備改善等支援コースのキモ

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雇用関係助成金の個々の企業向けでは、今年度唯一の“新設”助成金です。

 

かつて似たようなモノもあって、当局でコンサル関連で担当者が付くとか、まず何か出して、その何分の1かの補填をする助成金は、そのややこしさで、あまり使われない傾向にありました。この助成金は1億超える設備投資に出すというのです。その使い勝手を調べてみました。

 

人材確保等支援助成金 設備改善等支援コース

 

会社が雇用管理改善計画を定め、そのために設備投資をして生産性を向上させ、改善を実現した場合の助成金です。設備投資費用や企業規模等に応じて助成内容が異なるというものです。

 

〇<Aタイプ>・・・ 175 万円以上 1,000 万円未満の設備投資 中小企業のみ
1年後目標達成: 50 万円、3年後目標達成と生産性の向上を達成: 80 万円(上乗せ助成)
 
〇<Bタイプ>・・・240 万円以上1億円以上でもいい設備投資。大企業も可。

1年後目標達成:50~100万円(投資額による)

2年後目標達成と、生産性の向上を達成:50~150万円。

3年後生産性の向上と、改善目標を達成:80~200万円。

 

その計画とは、またクリアしなければならない目標とは?生産性向上とは一般のものと違うのか?ポイントを整理する必要があります。

 

〇雇用管理改善計画・・・かなり大規模な、最低でも175万円、1億円以上でも構わない雇用管理にかかる設備投資の計画。設備の導入と賃金アップの両方を実施した日から計画の開始日となります。その1か月前までに計画を受理される必要があります。その目標は示されていますが、問題はどういう機器を入れるかです。設備は以下のものでないこと。  ネガティブ・リストですね。 

 

・パソコン(タブレット端末やスマートフォン及びその周辺機器等を含む。)

・生産性向上に資する特種用途自動車以外の自動車

・福利厚生のための設備等 ・労働者の自宅等に設置する設備等(テレワーク用通信機器等)

・事業主の私物や現物出資

 

では要するに、それらの設備投資はどんなものがいいのか?一言でいうと・・・

 

・経産省系助成金で申請するような、生産性向上を目的とした設備投資。

 

AI(人工知能)、ICT(情報処理技術)に代表される機械装置や建物、器具備品、工具、建物付属設備、ソフトウエアが対象設備で、少なくとも175万円以上のもの、ということです。それが決まったら、各様式を埋めて、添付書類を付け、1か月前までに“計画”を出せということになります。

 

以上の設備投資の結果達成すべき目標は、年度ごとで図りますが、以下の3つです。

 

〇 改善目標・・・離職率改善と賃金アップ(0~6%)

〇 離職率・・・計画期間1年目~2年目に離職した雇用保険一般被保険者数÷計画期間終了1年目の初日における雇用保険一般被保険者数×100

〇 生産性向上・・・生産性要件のクリア。ただし、1年コース<Aタイプ>の場合は、6%の“原則”生産性向上なのに対し、3年コース<Bタイプ>の場合は初年度は0%でもいい、ただし2年目は2%、3年目は6%が必要。

 

ここで思い出すのは、経産省の経営力向上計画策定です。以前は生産性向上設備投資促進税制と言っていましたが、一昨年度名称が変わってグレードアップしました。ここで対象となるような設備投資を行って、目標を達成できればと思うのです。

 

つまり、生産性の"高くなりそうな"設備投資なら正解ということになりそうです。この助成金の一番の目的は人手不足を改善して省力化に資するところにありますので、AIなどは対象になりそうですね。

 

 

この新しい助成金は、経産省系の助成金を申請するような、ある程度大規模な企業では、申請しやすいのではないか?と思います。対象労働者が少なくとも1人以上いれば、申請可能ですが、これだけのものは費用対効果が求められるでしょう。そうなるとある程度大きい会社になるのです。

 

ただ支給申請は、助成金の対象労働者は、ほぼ正社員全員で12か月分ですから、賃金台帳や出勤簿など、膨大なものになるでしょう。

 

また併給は、対象設備投資の重なる経産省の助成金、厚労省の業務改善助成金や、時間外労働等改善助成金など、設備投資系の助成金とは、併給できないことになります。ただ違う機器でそれぞれ別に申請を行う形であれば、特に厚生労働省系は併給可能になる可能性が高いと思います。ここは他の助成金でも原則です。

 

経産省系助成金と、雇用関係の厚労省系助成金とは、性格が違うものですが、この助成金は相当経産省系に近づいた感じがします。事業計画書などを作る、本当に働き方改革をしようという企業には、向くかと思います。