ドイツ戦車はなぜ面白いか? | 新労社 おりおりの記

ドイツ戦車はなぜ面白いか?

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よくプラモデルになっている、ドイツ戦車。最近は旧ソ連やアメリカの戦車なども話題に上がるようになりましたが、やっぱり日本国民でも、日本戦車ではなく、ドイツ戦車に興味を抱くのです。

 

代表的なプラモ会社のタミヤでも、ドイツ戦車の売上は多く、ドイツにはない「ロンメル」とか、「ハーケンクロイツ」などと勝手に愛称を付けるくらいだったのです。日本戦車だって相応の活躍をし、エースもいるのになぜでしょうか?理由はいくつか考えられます。

 

 

・第1次大戦後の敗戦から立ち直って、あっという間に強い戦車団を作り上げたストーリー。

・しかも第2次大戦は、緒戦は「電撃戦」の名のもと勝ち続け、広い地域を席巻し伝説を作った。

・戦争末期ですらシーソーゲームの中、「世界最強の戦車」という名を失わず伝説を作り続けた。

 

・戦車のバリエーションが多く、いろいろな形のものが作られ、先進的で、敗戦前ですら、最先端を行くものだった。

・作ると分かる、戦車に全部アンテナ付き。通信技術や、戦車兵の命を考えた脱出口の多さ。

・パンツァー・リートなど、勇壮な曲の数々。モチベーションを保持する人間的な仕掛け。

 

要は「負けたのに最強だった」という、矛盾した感覚と、戦車にいろいろなバリエーションがあることで、研究してて飽きないのです。それにも増して「物語」が多いのですね。日本海軍が研究していて飽きないのに似ています。

 

 

アメリカやイギリスは「少々弱くても量産して、敵の最強戦車を取り囲めば戦争に勝てる」ので、M4シャーマン戦車を何万台も量産しました。そのバリエーションも面白いのですが、ドイツ戦車のバリエーションにはかないません。イギリスは不格好で強い戦車や、カッコよくて弱い戦車は作りましたが、カッコよくて強い戦車を作ったのは終戦後というありさまで、アメリカ製の武器に頼っていた状況ではあまりモテないのです。

 

ソ連は戦車の質量最強で、戦後も戦車大国の名をほしいままにしましたが、撃破されては投入する人海・量産戦術ですから、工夫の面白みがないのです。また、日本に至っては活躍した戦車は4種類だけ。悲劇的な最期だけが強調されてイタリア戦車のように間に合わなかった、イメージが大きいのです。

 

ドイツは独裁国家だった、という事情もあるでしょう。ヒトラーそのヒトは芸術家肌で、戦車などにも奇矯さが出る感じを好みました。そのような政治のクセを押さえて、有能な軍需相をはじめとする技術者が、生産を効率化し、さまざまな“必殺兵器”を生み出していった過程は面白いものです。

 

外国の戦車や、時代遅れになった戦車の砲を巨砲に挿げ替えるやり方は、連合国ではあまり見られないものです。ドイツ戦車の第2次大戦史は、大戦前半は上画像38Tのような、軽戦車で電撃戦と言われるように侵攻し、後半は重戦車で巨砲で敵戦車を次々撃破して防いだ感覚ですが、装甲の薄い軽戦車でも砲を大きくし、また重戦車と言っても機動力がなくて、撃破されたモノより、燃料不足や重量過多による故障、溝や泥濘にはまってしまい、放棄したということが多かったのです。

 

 

そういう緒戦の景気の良さぶりと、後期の必死の防戦ぶりの対策のバラエティが、心を揺さぶるのですね。決して性能が良いわけでない戦車でヨーロッパの大部分を占領し、後半は常に性能のいい戦車があったにも関わらず、本土決戦まで追い込まれたその謎が、ベートーベンを生んだ国が作った活発なマーチに乗って、伝説を作っていたのです。

 

ティーガー戦車は最強の重戦車、パンター戦車などは最強の中戦車でしたが、大戦後半のドイツを敗戦から救うことはできませんでした。

 

 

回転する砲塔を持つ戦車はおカネがかかりますが、砲が固定された上画像の3号突撃砲のような「突撃砲・駆逐戦車」は、量産に向くうえ、歩兵の支援や、防禦戦の待ち伏せに活躍しました。このバリエーションは戦車以上で、戦車とは異なる使用法とともに、興味深いのです。

 

しかし連合国はやや弱い戦車を大量に作って、戦争に勝利しました。ティーガー戦車が最強の重戦車だったのも、連合国が、これは量産できないだろう、したがって、対抗する重戦車開発の要なし、と判断したのも一因です。

 

面白いことは決して強くないのですね。戦争に勝つ力というのは地味で目立たないルーティーンの積み重ねかもしれません。