士官になる教育 | 新労社 おりおりの記

士官になる教育

 

軍艦長門の生涯
 

軍隊はたいてい、兵卒・下士官・士官の3階級でなりたっています。一般的なルートは、兵卒は一般国民から取られ、下士官は兵卒が除隊せずに、軍隊生活を続けた場合の現場管理職、士官は士官学校で高等教育を受けた、マネジメント職という感じです。

 

士官は兵卒を経ずに、士官学校を出てすぐなる場合が多いのですが、兵卒からたたき上げの下士官が昇進して士官になる場合もあります。そういう場合、どのような教育がなされるものでしょう。
 

旧日本海軍の場合は以下の通りです。2等・1等・上等水兵、水兵長、2等・1等・上等兵曹と来て、准士官である兵曹長に上がる時の教育です。兵曹長の上が少尉です。
 

・世界地理、日本史、海軍史

・「唐代文化について」「ルネサンス」など世界史

・ヨーロッパの社交術、服装上の注意、テーブルマナー

・訪問の儀礼、書簡の方式、食卓の作法

 

また、振る舞いについては、

 

・鉄道は3等不可。映画は2階の特等席

・貧乏ゆすりは禁物

・目立つ人がいても熟視したり横目を使うな

・軍服で大衆食堂に入るな。おでん、焼き鳥の屋台は論外
 

等々、相当厳しい教育が行われたようです。これを見ると、専門教育などは1つも出てきません。例えば海軍の下士官なら、砲術専門、航海術専門、水雷専門というように分かれています。強いて挙げれば外国語でしょうか。

 

しかしそんなモノは、海軍に10何年もいれば、身について当然なのですね。技術ならば学校出の士官よりもうまいのです。士官の役割は、兵学校の校長も言っています が、マネジメントです。日本海軍の場合、マネジメントの極意は「無私」、それを形成する学習は、歴史学と欧米風のマナーと考えられていました。

 

技術は重要です。理系は分かりやすいですが、文系なら営業術とか、事務技術でしょうか。しかしそれらのヒトを束ねるには、技術の上に立つ人格が必要です。人格を陶冶するには時空を超えたスケールの大きい知識がイイよ、というところでしょうか。

 

<完>