▽つづき▽
「ママの赤ちゃんになりたい」と
泣き始めてしまった娘のミニちゃん。
(ママの赤ちゃん……)
(なにしてほしいんだろ)
(ここは察するところか)
赤ちゃんかぁ。
私のお母さんならここでなんて言うかな。
いや私は母親にこのセリフは
言わないな。
父親に全力投球な母親には
無視されるのがオチだって
6歳で気づいてたからな。
逆に反面教師にして
母親が言わなそうなこと言えばいいのか。
一瞬で頭にいろんなことがめぐり
数秒後に
考えたらよくないなという結論に至り
「ずっとママの赤ちゃんでいんだよ」
と、抱っこしてみました。
今でもこれが正解だったかわからないです。
そしたら急に泣き出すミニちゃん。
本当にごめんね。
すごいストレスなんだろうな。
ごめんね。
こちらも涙をこらえてて
もう謝る言葉も出てきませんでした。
私が泣いてはダメだダメだと言い聞かせて
「ずっとママは離れないよ
ずっとミニちゃんはママの赤ちゃん」
と言ったら、
安心したのか、
どんどん、どんどん、ほっぺの血色が
よくなっていったミニちゃん。
そしたら口数がすごく増えてきた
そして私も立ち上がることができました。
猫ちゃんにバイバイして
抱っこして2キロ
2人で話しながら歩きました
「わたしママの赤ちゃん」
って嬉しそうに聞いてくるから
「そうだよ、今も赤ちゃん」
と言いながら大通りをスタコラ
タクシーはママもミニちゃんも
大の苦手。
基本的には歩くか自転車か
きっとウチの親なら私の気持ちは聞かずに無視して
タクシーでスタコラサッサ行くのだろうと
また思い出しながら
そのとき私は、初めての感覚を知りました。
妊娠してる人が
嬉しそうにしてる…あの感じは
これかな。
なんて幸せなんだ…
これがあの例の嬉しさか。
私は、このときまで
こんなに嬉しいと感じることがなかったです。
6歳の娘を抱っこして歩いてるのに
おなかの中にいるような感覚に。
重いけど重くない。
疲れるけど疲れない。
私はどうでもいいけど
この子が快適ならいいと思う感じ。
夜の街灯があたたかく見えました。
ぜんぶが幸せでつつまれてる感覚。
そして駅に到着
ちょうどガラガラの電車がきた
快適だラッキー
ママの膝に座ると
すっかりごきげんなミニちゃん
数駅乗って、無事に帰宅ヤッター
つづく