シリアの現状。 | フィレンツェで★フラビアンナイト

フィレンツェで★フラビアンナイト

フィレンツェ大学でフランス語とアラビア語を勉強するritzcoのメモ。

シリアから帰ってきたアラビア語の教授が
テスト前の見直し授業をしてくれました。



教室についてみると教授は見るからに具合が悪そう。



どうやら風邪を引いてしまったご様子。


そこから鼻声でシリアの現状を語って下さいました。





彼女はダマスカスの出身です。


18日間の滞在期間中、シャワーを浴びられたのは3回だけ。


水もガスも全てが足りない状態なので
シャワーといっても、ほんの数分で
髪の毛を洗いすすいだ程度。






食べ物も供給された
ひよこ豆やレンズ豆、インゲン豆などを食べているそう。





ある日外に出ると突然銃撃が始まって
恐れおののいて壁の裏に隠れて動けなかったと。





義弟さんは31歳の息子さんを戦争で亡くして
精神的に病んでしまって
ある時は笑い、突然泣き出し
息子さんの名前を呼びながら
どこにいるんだー?と叫んでいるそう。




息子さんの遺体は届けられず
たった一通、死亡報告の手紙が届いただけなのだそう。






イタリア人学生は

誰も助けてあげられないの?

一体誰と誰が戦争しているの?


と質問するけれど
教授は疲れ果てた目で宙を見つめながら


誰も助けてくれないし
一体誰と誰が戦争しているのかも
訳がわからない状態なのよ、と。











{8B104BBF-6608-4CE4-ACCE-EFE241289A13:01}




教授の旦那さんは、一回も外に出なかったそうです。


かなり危険な状況だし
イタリアから来たんだからと
お金をせびられるだけだと。





私は聞いているだけで涙が出てきて止まりませんでした。








今まであった平和な生活が誰だか解らない
何者かの手で奪われ
しかも子供まで亡くしてしまった日には
どうしたらよいのでしょう?


誰に当たって叫んだらよいのでしょう?




シリアの子供達はどんな成長をするのでしょう?










何気なく起きて、ご飯を食べて
温かいお風呂に入って静かに眠れる生活。


当たり前の私の今の生活が
どれだけありがたいか

当たり前に笑って外を走り回れる子供達の生活が
どんなに幸せなことなのか
ことごとく思い知らされました。







出発前に張り切ってお土産を買い過ぎて
スーツケースを1つ追加したと言っていた教授。




そんな自分をかえりみながら
あんな故郷に帰るなんて私勇気あるよね
と言っていた教授。



子供達はイタリアからの美味しいお菓子や
新しい洋服をもらって、とても喜んだそうです。





イタリア人学生にシリアからのお土産は何がいい?と聞いて
ちょっと考えたエレナが、お菓子と答えたのですが


憔悴した顔で、エレナにお菓子を買えなかったことを謝る教授の姿に
そんなお菓子より、生きて帰ってきてくれて良かったと思ったのでした。





恵まれた今の環境に常に感謝しながら
早く世界中の戦争が終わって
みんなに平和な日々が帰ってくることを祈るばかりです。