トレーナーやコーチがいるスプリンターのスイマーなら、たとえば 「今年の 8月までに」「50メートル自由形で、26秒を切る」 というような具体的目標設定を迫られる方もいらっしゃるでしょう。
高校や大学の水泳部のみなさんなら、必ずと言っていいほど目標設定を促されますし、場合によっては目標設定を強いられます。
わたしはフリースタイルスキーのナショナルチームコーチとして、そしてオリンピックコーチとして、たくさんのスキーヤーの目標設定にかかわってきました。加えて、彼らの進歩する状況を見守ってきました。
そんな過程で強く感じたことがあります。
それは目標設定は、「しばしば強迫観念に変わる」 ということです。
まじめな競技者で義務感や責任感に厚い人であればあるほど、目標設定に囚われ、その結果、怪我をしたり体調を崩したりする場面を見てきたのです。
ですから、目標設定は 「それが実現可能な目標であるか」 をしっかりと見定める必要があります。できるだけ細かいステップに切り分け、次に進むことが可能な目標を掲げるべきです。
加えて、目標に到達する時期については、できるだけゆとりを持ちましょう。それに追われたり、それに振り回されないようにしたいものです。場合によっては設定時期を、自在に変更する心の柔軟性も必要です。
目標に追われ、義務感からより苦しい練習を繰り返すことは、しばしばタイムの低下につながります。
目標設定が 「強迫観念」 でなく、「自らを奮い立たせる目標」 であることが大切です。
筋力は、筋が超回復という地道な作業を繰り返して向上します。
技術も、地道な反復練習の繰り返しで向上します。
焦らず、迷わず、到達可能な目標に向かって、地道な努力を繰り返すことが、結局はタイムを縮める一番の近道となるのです。
そして地道な努力とは、努力そのものが日々の喜びになるレベルであるべきです。
地道な努力につぶされてしまうほど大それた目標設定はすべきでありません。またタイムが低下するほど多大な練習量にも効果はありません。
日本の優れた選手たちの多くが、練習のしすぎでつぶれていく現実を知ってください。
あなたは、あなたが思っている以上に頑張っている場合が多いのです。
ですから、あなたのレベルに合わせた指導やトレーニングメニューの作成は、いつも大切な上達の鍵となります。
良きコーチとの出逢いは、上記の事柄を自然に気付かせてくれます。
そして、あなたの確実な上達を可能にしてくれます。
いつでもお気軽に、ご相談ください。
