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キャベツのせん切り

ある人は哲学的だという。

ある人は独創的だという。


キャベツをせん切りにするため、人々は試行錯誤を繰り返した。

人類の進化と共に様々な道具が生まれ、より早く簡単にキャベツをせん切りにする方法を生み出した。


日本から離れた中華料理の王道とも言えるべくキャベツのせん切りには、1玉のキャベツをそのまま大きな包丁で刻んでいくという早業を見せる。


一流の料理人になるにはキャベツのせん切りを避けて通ることが出来ないのだ。



今、日本には何千店舗にも及ぶ飲食店が肩を並べている。

その中にもキャベツのせん切りを出している店は多い。


洋食屋さんを筆頭に日本料理、中華料理、定食屋、ファーストフード店などあらゆる料理に適応していることがわかる。


今回は「キャベツのせん切りと自分」について書こうと思う。





一言で言わせてもらえば「速さよりもリズム、失敗を恐れるな」だ。


近年進化していくスライサーも安く売られているが、美味しいキャベツのせん切りを食べたければ包丁で切ったほうが100倍うまい!


全て自己分析で、根拠などないがスライサーによる安定した細さには愛があふれていない。

口の中に入った時、感情すら持たないキャベツのせん切りたちはまるで機械で作られたロボットのように、みんな同じ顔をもつ。


もちろんキャベツにも色々な個性があり、硬いやつやらやわらかいやつまで、味も苦いものから甘いものまで様々だが、1玉のキャベツの食感はその1玉で決められているのだ。

そのキャベツがどんなに美味しいキャベツでも、そのキャベツ以上のキャベツにはなれないのだ。


いわゆるそれが個性というもの。



そこに料理人の手が加わり力をあわせると、そのキャベツの本当に素敵な一面を引き出させるということになる。


例を言えばキャベツの芯は硬くて生で食べるのは避けてしまうが、手を加えることで美味しく食べれるようになる。ということ。


人もキャベツも一緒だということだ。




それでは実践方法


1玉の4分の1程度にカットしてよりせん切りしやすくする。

これは人それぞれやりやすさがあると思うので、あくまでも目安。

5分の1でも10分の1でも自分が切りやすいという形に持っていく事が重要だ。


葉の大きさは中心の部分から徐々に大きくなっていっているが、もちろん味も食感も変わっていく。なるべく同じような部分を2~3枚はがしせん切りを始める。


包丁の切れ味によってせん切りの細さの限界が生まれるが、自分が包丁で切ってみて「あ~切れない!」とか憤りを感じるのであれば、もっと切れる包丁にしたほうがいい。

「あ~切れない!」という気持ちがキャベツに伝わり、味が変わってしまうからだ。

かといってめちゃくちゃ切れる包丁じゃなきゃ駄目という事もない。


自分が慣れ親しんだ包丁。研いだばかりでワクワクする包丁。買ってきた新品のプレミアム包丁。


切っていて幸せになれるような包丁があれば最高だ!



冒頭に書いた通り、速さよりもリズム。


これから果てしないせん切りの旅に出かけるという時に早く終わりたいとか、かっこつけてトントンしたい。なんてもったいない!


大事なのはリズム。

一食食べるのに何回トントンしなければならないのか、数字にすれば果てしない。

これは全てに当てはまるのだが、自分のリズムを作り出すと疲労を感じないという現象がおきる。


たとえば、好きな音楽をかけたり、まるでミュージシャンになったかのようにドラムをたたいてみたり。切っていくとあっという間にせん切りは終焉を迎える。


楽しい時間はあっという間だ。

そしてその楽しい気持ちはキャベツに伝わりキャベツも喜ぶ。

キャベツと一緒に踊ったような素敵な時間が、キャベツの味をより美味しくさせる。



そして失敗を恐れるな。


スライサーのように一定の細さなど出さなくていい。

めちゃくちゃ細いのもあれば、ちょっと太いのもあったりして、短いのや、長いのもあったりする。

これが個性。


キャベツと自分の持つ素敵な個性だ。


その様々な食感のキャベツたちが口に入った時、愛があふれる。


自分だけじゃなく他の人にも食べてもらうならば、それはあなたの自己表現だ。

言わばラブレターのように愛があふれているのだ。



適温は4度といわれているが、冷蔵庫から出して少し時間がたった頃が適温だ。

あまり冷たすぎると冷え切った愛が口に入ってしまうぞ。


人はもともと正直だ。


本当に美味しいキャベツのせん切りを食べると


「あれ?このキャベツ美味しいね。」というだろう。




全ては愛で出来ている。

                            

                           

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