父親が異なる4人の兄妹を母が育てる母子家庭。アパートに入居するために、父が海外赴任中で母と息子の2人暮しだと偽る。だから、引っ越しの時には子ども2人は大型トランクに入れて運ばれたし、1人は後でこっそりアパートに入った。もちろん、子どもたちは学校に通った事がない。

だが母親、けい子(YOU)に新たな恋人が出来て、長男の明(柳楽優弥)に20万円を渡して消えてしまう。だから、子どもたちは何とか自分たちで暮らして行こうとする。暗く、つらく、なんともいえない寂しい話が、明るく、爽やかに、淡々と流れて行く。誰も気付かない、誰も知らないのだが、ほんの少しの人達の、ほんの少しの心遣いで、細々と生きのびて行く子供達。優弥はあえて言わなくても良いだろう。大人っぽい京子(北浦愛)も良い、茂(木村飛影)のキャラクターも良い、落ちこぼれ高校生(韓英恵)も良い。そしてYOUだから、この映画が暗くなくできた。YOUだって、出て行ってそれっきりということではない。一度お金を送ったこともある。ちゃんと手紙も付けて。

「明へ、みんなをヨロシクネ!頼りにしてるわよ💛ママより」

(文:海千)

「北茨城市花園神社の大杉の根っこ」(写真:南岳)