愛犬が16歳になった時、介護が始まった。家族そろって介護に明け暮れた。食欲もなくなったので、近所の動物病院に連れて行ったら、点滴をすることになった。点滴が始まったら診察室の隅にいた男がカメラを持って近づいて来て、テレビ局の者だが取材に応じてもらえるか、というので了承した。
飼育して来た経緯についての質問があった後、
「この様に点滴までするとなると世話が大変だと思うのですが?」
という質問にぼくはカチンと来た。
「ぼくは、手間が掛かるから山に捨てて来ちゃおう、と家族にいつも言っているのだけど、中々捨てるような山が無いのです」
「老人介護と一緒ですよ。山に捨てられないでしょ。必要最小限のことをみんなやっているんですよ」
男は呆れた顔をして、それ以上質問しなかった。それが放映されたのかどうかは知らない。
(文:海千)
「八ヶ岳山麓」(写真:南岳)
