(2022年、日本/フランス/フィリピン、監督:早川千絵)
「PLAN75」は今年のカンヌ映画祭で「ベイビー・ブローカー」と同時に新人監督賞を取った映画だ。内容は近未来の日本で、75歳になった人に政府が尊厳死を推奨するという架空の映画だが、「まるで現実の日本ではないか」という感想も出ている。
以前にここで紹介した映画「わたしを離さないで」で、臓器提供用に作られたクローン人間たちが何の抵抗もないまま物語りが終わってしまうことに、ぼくは異議を唱えた。この物語が終わるところこそ出発点ではないかと。全く同じことを「PLAN75」に対しても言わねばならない。映画の中であったとしても、政府が75歳になった人に尊厳死を推奨するプランを出して来たら、それはおかしいと抵抗しなければいけない。または抵抗する人間も描かなければいけない。
そういう時代に推奨に従わないことが、どんなに難しい生き方になるのであっても、そういう生き方もあることを描かねばいけない。折角、賞を取った新人監督には悪いけれど。
(文:海千)
「人間尊厳に」(にんげんそんげんに)回文です(写真:南岳)
