私は必ずと言っていいくらい訊かれるんです。「寂聴さん、ほんとうにあの世があるんですか、極楽があるんですか?」って。そのときは私も「悪いけど、私もまだ死んだことないから分からないのよ」と、答えることにしているんですが。「たいていのことは、この世でしてきたけど、まだ牢屋に入ったことと死んだことはないのよ」と言って。(中略)

     「いのち、()ききる」日野原重明、瀬戸内寂聴 対談集、株式会社光文社刊

 

今から15年ほど前、施設に入っていた母が具合いが悪くなったということで、弟と二人で施設に詰めていた。時間を持て余して休憩室にある本を片端から読んでいった。その中にこの本があり、この一節に出会った。(海千)

「菜の花畑」写真:南岳