「起きてるか?」私が言った。

「起きてるわ」

「おれが完全に回復するという保証はない」

「私は、回復すると思うわ」

「それで、もし回復しなかったら?」

「金持ちになろうと、貧乏であろうと、病気であろうと、健康であろうと」スーザンが呟いた。

「きみはここにいる」

「私はつねにここにいる」

 二人とも無言のまま、彼女が体をすり寄せ、私は、彼女の体をかぎ、体に触れ、息づかいを聞きながら、たとえ、これ以外になにもなくても、これで充分であるのを知った。

       「悪党」ロバート・B・パーカー

                    (菊池 光訳、Hayakawa Novels)

「キンキラキン樹」(写真:南岳)